FP2級過去問題 2018年5月学科試験 問60

問60

取引相場のない株式に係る類似業種比準価額に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、類似業種比準価額の計算に影響を与える他の要素については、考慮しないものとする。
  1. A社は土地を売却する予定であり、売却すると多額の売却損の発生が予想されるため、この土地の売却により類似業種比準価額を引き下げることができると考えている。
  2. B社は、類似業種比準価額の計算上、配当、利益および純資産という3つの比準要素のウエイトが「1:3:1」であるため、今後は、配当や純資産の引下げに努めるよりもウエイトの高い利益の引下げ(圧縮)に努めた方が、類似業種比準価額の引下げ効果は大きいと考えている。
  3. C社はこれまで無配であったが、今期、創業30年の記念配当を実施する予定であり、この配当を実施すると、比準要素のうちの配当がゼロからプラスになるため、類似業種比準価額が上昇するのではないかと考えている。
  4. D社の株式評価上の会社規模は、現在、中会社であるが、類似業種比準価額の計算上の斟酌率は会社規模が大きいほど小さくなるため、会社規模を大会社にさせて類似業種比準価額を引き下げたいと考えている。

正解 1

問題難易度
肢131.1%
肢224.3%
肢323.1%
肢421.5%

解説

  1. [適切]。不動産等の売却損の損失を計上すると当期利益の圧縮に繋がるので、評価額の引下げに効果があります。
  2. 不適切。類似業種比準方式は、事業内容が類似する上場企業の業種の株価をもとに評価する方式で、1株当たりの配当金額、利益金額、純資産価額の3要素を比較し評価額を算出します。比準要素(配当金額、利益金額、純資産価額)の比重は「1:1:1」です。なお、2016年(平成28年)以前は「1:3:1」でした。
  3. 不適切。記念配当は、類似業種比準価額の配当金額の計算に含まれません。比準要素の計算上の配当金額は増えない一方、記念配当を実施した分だけ、会社の純資産額が減少するので評価額を引き下げる効果があります。
  4. 不適切。類似業種比準価額を算出する際に全体に乗じる係数を斟酌率(しんしゃくりつ)といいます。斟酌率は、大会社は0.7、中会社は0.6、小会社は0.5と会社規模に比例するので、会社規模が大きいほど類似業種比準価額は大きくなります。
したがって適切な記述は[1]です。