公的年金(全86問中2問目)

No.2

公的年金制度の障害給付および遺族給付に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2024年1月試験 問5
  1. 障害等級1級または2級に該当する程度の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、所定の要件を満たす配偶者を有する場合、その受給権者に支給される障害厚生年金には加給年金額が加算される。
  2. 障害厚生年金の額を計算する際に、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たない場合、300月として計算する。
  3. 遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持され、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。
  4. 遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、65歳以降、その者の選択によりいずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。

正解 4

問題難易度
肢120.5%
肢211.9%
肢38.3%
肢459.3%

解説

  1. 適切。障害等級2級以上の障害厚生年金では、受給権者によって生計維持されている65歳未満の配偶者がいるとき配偶者加給年金額が加算されます。この加給年金は、障害厚生年金の受給権取得時に婚姻していなくても、後に婚姻関係が成立して対象配偶者になれば支給されるようになります。
    障害基礎年金の受給権者が、所定の要件を満たす配偶者を有する場合、その受給権者に支給される障害基礎年金には、配偶者に係る加算額が加算される。2021.9-6-3
    障害等級2級に該当する程度の障害の状態にある障害厚生年金の受給権者が、所定の要件を満たす配偶者を有する場合、その受給権者に支給される障害厚生年金には加給年金額が加算される。2021.1-7-2
    障害等級1級または2級の障害厚生年金の受給権者が、所定の要件を満たす配偶者を有する場合、その受給権者に支給される障害厚生年金には、加給年金額が加算される。2017.9-7-3
    障害基礎年金の受給権者が、所定の要件を満たす子を有する場合、その受給権者に支給される障害基礎年金には、子の数に応じた額が加算される。2017.9-7-4
    障害等級1級または2級に該当する者が所定の要件を満たす配偶者を有する場合、その者に支給される障害厚生年金には、加給年金額が加算される。2014.9-6-4
  2. 適切。障害厚生年金の額は、老齢厚生年金の報酬比例部分をもとに計算されます。報酬比例部分の額は被保険者期間等に応じて決まるので、被保険者期間が短い場合には年金額が少なくなってしまい十分な生活保障となりません。このため、被保険者期間が300月未満のときには300月とみなして計算することで、一定の保障機能を確保する仕組みになっています。
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    障害厚生年金の額を計算する際に、その計算の基礎となる被保険者期間の月数が300月に満たない場合、300月として計算する。2021.9-6-1
  3. 適切。遺族基礎年金の受給権者は、被保険者によって生計を維持されていた「子のある配偶者」または「子」に限られます。年金法における「子」とは次の者のうち婚姻していない者に限ります。
    • 18歳到達年度の末日(3月31日)を経過していない子
    • 20歳未満で障害年金の障害等級1級または2級の子
    遺族基礎年金を受給できる遺族とは、国民年金の被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持されていた親族のうち、配偶者、子、父母、孫、祖父母をいう。2022.1-5-3
    遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持し、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。2021.5-6-4
    遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持していた者で、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。2021.3-7-1
    遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡当時その者によって生計を維持し、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。2020.1-6-1
    遺族厚生年金を受給することができる遺族の範囲は、厚生年金保険の被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持し、かつ、所定の要件を満たす配偶者、子、父母、孫または祖父母である。2019.9-6-1
    遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持し、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」に限られる。2019.5-7-1
    遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持し、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。2018.5-6-1
    遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持し、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。2018.1-7-1
    遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持し、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。2017.5-5-3
    遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持していた者で、かつ、所定の要件を満たす「子のある配偶者」または「子」である。2016.5-7-1
    遺族厚生年金を受けることができる父母には、厚生年金保険の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持されていたその者の配偶者の父母で55歳以上の者も含まれる。2016.1-6-2
    遺族厚生年金を受けられる遺族は、厚生年金保険の被保険者または被保険者であった者の死亡の当時、その者によって生計を維持されていた配偶者および子に限られる。2015.5-6-1
    遺族基礎年金を受給することができる遺族は、国民年金の被保険者等の死亡の当時、その者によって生計を維持され、かつ、所定の要件を満たす妻および子に限られる。2015.1-7-1
  4. [不適切]。65歳以降に遺族厚生年金と老齢厚生年金を併給する場合、まず老齢厚生年金が優先して支給され、遺族厚生年金は老齢厚生年金を超える部分のみが支給されます。受給権者が選択することはできません。
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    遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、遺族厚生年金が支給される際には老齢基礎年金も併給される。2022.9-5-1
    遺族厚生年金と老齢厚生年金の受給権を有している者は、65歳以降、その者の選択によりいずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。2019.9-7-2
    遺族厚生年金の受給権者が65歳以降に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、その者の選択により、いずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。2017.1-7-2
    遺族厚生年金を受給している者が、65歳以降に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給される。2015.9-7-1
    遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、その者は65歳に達するまではいずれか一方の年金を選択して受給することになる。2015.5-6-4
    遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、その者は65歳に達するまではいずれか一方の年金を選択して受給することになる。2014.1-7-2
    遺族厚生年金の受給者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、遺族厚生年金と特別支給の老齢厚生年金は併給される。2013.5-7-1
したがって不適切な記述は[4]です。