公的年金(全86問中20問目)

No.20

国民年金および厚生年金に係る「財政の現況及び見通し」(いわゆる財政検証)に関する次の記述の空欄(ア)~(ウ)にあてはまる語句の組み合わせとして、最も適切なものはどれか。
  • 政府は、少なくとも()ごとに、保険料、国庫負担の額、保険給付に要する費用の額などの現況および見通しを作成しなければならない。
  • 「財政の現況及び見通し」は、作成する年以降おおむね100年を財政均衡期間と定め、収入と支出のバランスをとる期間としているが、そのバランスをとるために年金の給付水準を調整する仕組みが()である。
  • 一定の条件を満たす夫婦2人を想定した世帯が受給し始める年金額(いわゆるモデル年金)の現役男子の平均手取り収入額に対する割合である所得代替率が()を上回ることとなるような給付水準を将来にわたり確保することが求められている。
2020年9月試験 問4
  1. (ア)3年 (イ)物価スライド (ウ)100分の50
  2. (ア)5年 (イ)マクロ経済スライド (ウ)100分の50
  3. (ア)3年 (イ)マクロ経済スライド (ウ)100分の60
  4. (ア)5年 (イ)物価スライド (ウ)100分の60

正解 2

問題難易度
肢18.9%
肢249.3%
肢332.0%
肢49.8%

解説

〔(ア)について〕
日本の公的年金制度には、少子高齢化に伴う公的年金加入者の減少や平均寿命の延びなど、社会の人口・経済全体の状況を考慮して、給付と負担のバランスを自動的に調整する仕組みがあります。そして、これらのバランスがとれているかどうか確認するため、少なくとも5年ごとに、最新の人口や経済の状況を反映した、長期にわたる財政収支の見通しを作成しています。これを「財政検証」といいます(厚生労働省HPより転載)。財政検証は、厚生年金保険法及び国民年金法の規定により、少なくとも5年ごとに1回に実施されています(2014年、2019年)。
よって、(ア)には5年が入ります。

〔(イ)について〕
物価スライドとマクロ経済スライドは年金額を改定するための仕組みです(他に賃金スライドもあります)。
物価スライド
年金額を物価上昇率によって改定すること。受給開始後の年金額は、原則、物価の水準に応じて改定する。
賃金スライド
年金額を賃金上昇率によって改定すること。年金を受け取り始めるときの年金額は、原則、厚生年金などの被保険者の1人当たり賃金の水準に応じて改定する。
マクロ経済スライド
そのときの社会情勢(現役人口の減少や平均余命の伸び)に合わせて、公的年金の給付水準を自動的に調整する仕組み(2004年より導入)
2004年の年金制度改正により、賃金や物価の改定率を調整して(上昇率を抑えて)年金の給付水準を決める「マクロ経済スライド」が導入されています。
よって、(イ)にはマクロ経済スライドが入ります。

〔(ウ)について〕
所得代替率とは、受け取り始めるときの年金額が、その時点の現役世代の所得(賞与込み)に対してどの程度の割合かを示すものです。所得代替率は将来にわたって50%以上を確保することが法律で規定された目標となっています。
よって、(ウ)には100分の50が入ります。

以上より、[2]の組合せが正解となります。