公的年金(全86問中50問目)

No.50

公的年金の併給調整等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2017年1月試験 問7
  1. 障害基礎年金の受給権者が65歳以降に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、障害基礎年金と老齢厚生年金は併給される。
  2. 遺族厚生年金の受給権者が65歳以降に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、その者の選択により、いずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。
  3. 遺族厚生年金の受給権者が雇用保険の基本手当の支給を受けている間、遺族厚生年金は支給停止となる。
  4. 同一の事由により障害厚生年金と労働者災害補償保険の障害補償年金が支給される場合、障害厚生年金は、所定の調整率により減額されて支給される。

正解 1

問題難易度
肢153.9%
肢216.1%
肢313.8%
肢416.2%

解説

公的年金の併給可否は以下のようになっています。「1人1年金」の原則があるので、支給事由(老齢・障害・遺族)の異なる2つ以上の年金を受けることは原則としてできません。ただし、老後の生計維持等を目的として、障害基礎×老齢厚生、障害基礎×遺族厚生、老齢基礎×遺族厚生の3つの組合せは65歳以上に限り例外的に併給が認められています。
07_1.png./image-size:532×202
  1. [適切]。65歳以降であれば、障害基礎年金と老齢厚生年金の併給が可能です(図の左中央)。障害基礎年金の受給者は長時間働いても老齢年金の額が少なく、結果として障害基礎年金を選ぶケースが多くあります。この場合、厚生年金保険料は払い損になってしまいます。併給が可能となっているのは、障害を抱える方の就労を評価し、適切に年金給付に反映させるためです。
    障害厚生年金を受給している者が、65歳以降に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、障害厚生年金と老齢基礎年金は併給される。2015.9-7-4
    老齢基礎年金の受給権者が65歳以降に遺族厚生年金の受給権を取得した場合、老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給される。2014.1-7-1
  2. 不適切。65歳以降であれば、遺族厚生年金と老齢基礎年金の併給が可能です(図の右上)。老齢厚生年金を受給している配偶者が死亡すると、残された人は自らの年金だけで老後の生計を維持しなければならないこともあり、生活レベルの大幅な減退が予想されます。併給が可能となっているのは、所得保障という面から配偶者が受けていた年金の一部を遺族厚生年金として継続して受給できるようにするためです。
    遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、65歳以降、その者の選択によりいずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。2024.1-5-4
    遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、遺族厚生年金が支給される際には老齢基礎年金も併給される。2022.9-5-1
    遺族厚生年金と老齢厚生年金の受給権を有している者は、65歳以降、その者の選択によりいずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。2019.9-7-2
    遺族厚生年金を受給している者が、65歳以降に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給される。2015.9-7-1
    遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、その者は65歳に達するまではいずれか一方の年金を選択して受給することになる。2015.5-6-4
    遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、その者は65歳に達するまではいずれか一方の年金を選択して受給することになる。2014.1-7-2
    遺族厚生年金の受給者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、遺族厚生年金と特別支給の老齢厚生年金は併給される。2013.5-7-1
  3. 不適切。雇用保険の基本手当の受給資格を有する期間中に支給が停止されるのは特別支給の老齢厚生年金です。老齢基礎年金や老齢厚生年金、遺族厚生年金は支給停止にはなりません。
    07_3.png./image-size:393×107
    特別支給の老齢厚生年金は、その受給権者が雇用保険の基本手当を受給している期間、原則として、支給停止となる。2013.5-7-4
  4. 不適切。同一事由により、障害年金と労災保険の障害補償年金、または遺族年金と労災保険の遺族補償年金を受け取る場合、国民年金と厚生年金からの支給は全額が支給され、労災保険からの給付が所定の割合で減額調整されます。
    同一の事由により、障害厚生年金と労働者災害補償保険法に基づく障害補償年金が支給される場合、障害補償年金は全額支給され、障害厚生年金は所定の調整率により減額される。2023.1-7-3
    同一の事由により、障害厚生年金と労働者災害補償保険法に基づく障害補償年金が支給される場合、障害補償年金は所定の調整率により減額され、障害厚生年金は全額支給される。2022.9-5-2
    同一の事由により、障害厚生年金と労働者災害補償保険法に基づく障害補償年金が支給される場合、障害厚生年金は全額支給され、障害補償年金は所定の調整率により減額される。2019.9-7-4
したがって適切な記述は[1]です。