公的年金(全86問中9問目)

No.9

公的年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、厚生年金保険法の「被扶養配偶者である期間についての特例」による標準報酬の改定を「3号分割」という。
2022年9月試験 問5
  1. 遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、遺族厚生年金が支給される際には老齢基礎年金も併給される。
  2. 同一の事由により、障害厚生年金と労働者災害補償保険法に基づく障害補償年金が支給される場合、障害補償年金は所定の調整率により減額され、障害厚生年金は全額支給される。
  3. 離婚時における厚生年金保険の3号分割の対象となるのは、1986年4月以降の国民年金の第3号被保険者であった期間における、当該第3号被保険者の配偶者に係る厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)である。
  4. 老齢厚生年金や遺族厚生年金等の年金給付を受ける権利(基本権)は、原則として、その支給すべき事由が生じた日から5年を経過したときに時効により消滅する。

正解 3

問題難易度
肢115.4%
肢218.5%
肢340.1%
肢426.0%

解説

  1. 適切。65歳到達後であれば老齢基礎年金と遺族厚生年金は併給可能です。老齢厚生年金を受給している配偶者が死亡すると、残された人は自らの年金だけで老後の生計を維持しなければならないこともあり、生活レベルの大幅な減退が予想されます。併給が可能となっているのは、所得保障という面から配偶者が受けていた年金の一部を遺族厚生年金として継続して受給できるようにするためです。
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    遺族厚生年金の受給権者が、65歳到達日に老齢厚生年金の受給権を取得した場合、65歳以降、その者の選択によりいずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。2024.1-5-4
    遺族厚生年金と老齢厚生年金の受給権を有している者は、65歳以降、その者の選択によりいずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。2019.9-7-2
    遺族厚生年金の受給権者が65歳以降に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、その者の選択により、いずれか一方の年金が支給され、他方の年金は支給停止となる。2017.1-7-2
    遺族厚生年金を受給している者が、65歳以降に老齢基礎年金の受給権を取得した場合、遺族厚生年金と老齢基礎年金は併給される。2015.9-7-1
    遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、その者は65歳に達するまではいずれか一方の年金を選択して受給することになる。2015.5-6-4
    遺族厚生年金の受給権者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、その者は65歳に達するまではいずれか一方の年金を選択して受給することになる。2014.1-7-2
    遺族厚生年金の受給者が特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得した場合、遺族厚生年金と特別支給の老齢厚生年金は併給される。2013.5-7-1
  2. 適切。同一事由により、障害年金と労災保険の障害補償年金、または遺族年金と労災保険の遺族補償年金を受け取る場合、国民年金と厚生年金からの支給は全額が支給され、労災保険からの給付が所定の割合で減額調整されます。
    同一の事由により、障害厚生年金と労働者災害補償保険法に基づく障害補償年金が支給される場合、障害補償年金は全額支給され、障害厚生年金は所定の調整率により減額される。2023.1-7-3
    同一の事由により、障害厚生年金と労働者災害補償保険法に基づく障害補償年金が支給される場合、障害厚生年金は全額支給され、障害補償年金は所定の調整率により減額される。2019.9-7-4
    同一の事由により障害厚生年金と労働者災害補償保険の障害補償年金が支給される場合、障害厚生年金は、所定の調整率により減額されて支給される。2017.1-7-4
  3. [不適切]。3号分割とは一定の条件を満たした夫婦が離婚した場合に、第3号被保険者であった者が、婚姻期間中における相手型の厚生年金保険料納付記録の2分の1を請求できる制度です。3号分割の対象となるのは、2008年(平成20年)4月1日以降の国民年金の第3号被保険者だった期間に限られます。
    なお、本肢の「1986年4月」というのは国民年金の第3号被保険者の制度が始まった年月です。
    3号分割の対象となるのは、2008年4月1日以降の国民年金の第3号被保険者であった期間における、当該第3号被保険者の配偶者に係る厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)である。2023.9-6-3
    合意分割の分割対象となるのは、離婚当事者の婚姻期間中の厚生年金保険の保険料納付記録(標準報酬月額・標準賞与額)である。2019.1-7-1
  4. 適切。年金を受給するためには年金給付の請求手続きが必要です。年金を受給できる権利(基本権)の消滅時効は、その権利が発生してから5年ですので、原則として、基本権の発生から5年を経過すると時効により年金受給権が消滅してしまいます。
したがって不適切な記述は[3]です。