生命保険(全145問中33問目)

No.33

生命保険の保険料等の一般的な仕組みに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2021年9月試験 問11
  1. 収支相等の原則は、保険会社が受け取る保険料等の総額が、保険会社が支払う保険金等の総額と等しくなるように保険料を算定する原則をいう。
  2. 保険料は、将来の保険金・給付金等の支払いの財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料で構成される。
  3. 所定の利率による運用収益をあらかじめ見込んで保険料を割り引く際に使用する予定利率を低く設定した場合、新規契約の保険料は安くなる。
  4. 保険会社が実際に要した事業費が、予定していた事業費よりも少なかった場合、費差益が生じる。

正解 3

問題難易度
肢112.6%
肢28.2%
肢367.3%
肢411.9%

解説

  1. 適切。収支相等の原則は、保険会社の収入と支出が等しくなるように保険料を算定する原則です。保険会社の収入は、保険会社が受け取る保険料と運用益の合計であり、保険会社の支出は、保険会社が支払う保険金と保険会社の運営費などの経費の合計です。
    収支相等の原則は、保険会社が受け取る保険料等の総額が、保険会社が支払う保険金等の総額と等しくなるように保険料を算定する原則をいう。2023.5-11-1
  2. 適切。生命保険の保険料は「純保険料」と「付加保険料」で構成されています。
    純保険料
    死亡保険金・生存保険金の給付財源に充てられる部分で、予定死亡率と予定利率を基に算定される
    付加保険料
    保険会社が保険契約を維持・管理していくための必要経費に充てられる部分で、予定事業費率を基に算定される
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    保険料のうち、将来の保険金等の支払財源となる純保険料は、予定死亡率に基づいて計算され、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料は、予定利率および予定事業費率に基づいて計算される。2023.5-11-2
    保険料は、将来の保険金等の支払いの財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料で構成されている。2023.1-12-1
    保険料は、将来の保険金・給付金等の支払い財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料で構成される。2022.9-11-2
    保険料の内訳は、将来の保険金・給付金等の支払いの財源となる純保険料と、保険会社が保険契約を維持・管理していくために必要な経費等の財源となる付加保険料とに分けられる。2019.5-11-1
  3. [不適切]。予定利率を低く設定した場合、新規契約の保険料は高くなります。
    生命保険の保険料は、予定死亡率・予定利率・予定事業費率に基づいて算定されます。このうち、予定利率は、払い込まれた保険料の一部を運用して得られる運用収益を見込んだ利回りです。収益が多く出ると予想されれば予定利率は高くなり、その分保険料を割り引くことができます。逆に収益が少ないと予想されれば予定利率は低く設定され、保険料は高くなります。
    所定の利率による運用収益をあらかじめ見込んで保険料を割り引く際に使用する予定利率を低く設定した場合、新規契約の保険料は高くなる。2022.9-11-3
    所定の利率による運用収益を見込んであらかじめ保険料を割り引く予定利率が低く設定された場合、一般に保険料は安くなる。2021.3-11-2
    運用収益を予測してあらかじめ一定の利率で保険料を割り引く予定利率を低く設定する場合、一般に保険料は高くなる。2016.5-11-3
  4. 適切。本肢は「実際にかかった事業費<予定していた事業費」という状況です。予定していたよりも事業費がかからなかったので、その分保険会社の利益が発生します。これが「費差益」です。費差益は保険会社の剰余金の一部として配当金の財源となります。
    保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも少なかった場合、費差益が生じる。2023.5-11-4
    保険会社が実際に要した事業費が、保険料を算定する際に見込んでいた事業費よりも多かった場合、費差益が生じる。2022.9-11-4
したがって不適切な記述は[3]です。