損害保険(全100問中11問目)

No.11

法人が所有する建物等を対象とした火災保険から受け取る保険金と圧縮記帳に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、契約している火災保険の契約者(=保険料負担者)および保険金受取人は法人であるものとする。
2023年1月試験 問19
  1. 工場建物および建物内に収容されている機械が全焼し、同一事業年度中に受け取った火災保険金で、焼失前と同様の工場建物および同一の機械を新たに取得した場合、当該工場建物・機械ともに圧縮記帳の対象となる。
  2. 工場建物が全焼し、同一事業年度中に受け取った火災保険金で、その滅失した工場建物と同一種類に区分される倉庫建物を新築した場合、当該倉庫建物は圧縮記帳の対象とならない。
  3. 工場建物が全焼し、同一事業年度中に受け取った火災保険金で、当該工場建物が滅失等をしたときにおいて現に建設中であった他の工場建物を完成させた場合、完成後の工場建物は圧縮記帳の対象となる。
  4. 保険金で取得した代替資産の圧縮限度額を算出する際、「所有固定資産の滅失または損壊により支出する経費」には、ケガ人に対する見舞金を含めることができる。

正解 1

問題難易度
肢155.1%
肢214.4%
肢317.4%
肢413.1%

解説

圧縮記帳とは、代替資産の取得時に所定の計算式で求めた「固定資産圧縮損」を計上するとともに取得した固定資産の帳簿価額を下げる経理処理で、受け取った保険金に対する課税を繰り延べる効果があります。
  1. [適切]。圧縮記帳は、法人所有の建物、車両、機械など、固定資産の損害に対する保険金を受け取り、一定期間内に同一種類の代替資産を取得(改良)する場合に認められます。
  2. 不適切。取得等をした固定資産がその滅失等をした所有固定資産と同一種類の固定資産であるかどうかは、減価償却資産の耐用年数表における種類の区分が同じであるかどうかによって判定されます。工場建物と倉庫建物は耐用年数表において同一の種類に分類されているため代替資産となり、圧縮記帳の適用対象となります。
  3. 不適切。保険金等により取得する代替資産は、滅失等した固定資産を代替することを目的として取得する固定資産に限られるので、滅失等のあった時において現に自己が建設、製作、製造または改造中であった資産は圧縮記帳の対象となる代替資産に該当しません。
  4. 不適切。圧縮限度額を計算するときの保険差益の額は、受け取った保険金から「所有固定資産の滅失または損壊により支出する経費」を控除して求めます。「所有固定資産の滅失または損壊により支出する経費」は、滅失等のあった固定資産の取壊し費用や焼け跡の整理費、消防費など固定資産が滅失等したことに直接関連して支出される経費に限られます。ケガ人に対する見舞金や被災者への弔慰金、類焼者への賠償金など直接関連していない経費は含まれません。
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したがって適切な記述は[1]です。