損害保険(全100問中17問目)

No.17

契約者(=保険料負担者)を法人とする損害保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2022年5月試験 問18
  1. 火災により倉庫を焼失するリスクに備えて、保険期間5年の火災保険に加入し、5年分の保険料を一括で支払った場合、その事業年度に、支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。
  2. 業務中の事故によりケガを負うリスクに備えて、すべての役員・従業員を被保険者および保険金受取人とする普通傷害保険に加入した場合、その支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。
  3. 法人が所有する業務用自動車が交通事故で損壊し、法人が受け取った自動車保険の車両保険の保険金で修理をした場合、当該保険金を益金の額に算入し、当該修理費を損金の額に算入することができる。
  4. 積立傷害保険が満期を迎え、法人が満期返戻金と契約者配当金を受け取った場合、その全額を益金の額に算入し、資産に計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入することができる。

正解 1

問題難易度
肢155.3%
肢29.1%
肢318.1%
肢417.5%

解説

  1. [不適切]。火災保険料として数年分を一括で支払った場合、保険料は事業年度ごとに期間按分しなくてはいけません。支払った年度の経過期間分は「支払保険料」として当該年度の損金に算入できますが、翌期以降の保険料は「前払保険料」として資産に計上されます。
  2. 適切。普通傷害保険は、国内・国外を問わず日常生活での様々な事故による損害を補償する保険で、業務中の役員や従業員の事故やケガの補償を目的に法人で加入することもあります。
    すべての役員・従業員を被保険者および保険金受取人とする普通傷害保険では、支払保険料の全額を「福利厚生費」として損金に算入します。また、受取人が法人の時は「支払保険料」として損金算入します。
    すべての役員・従業員を被保険者とする普通傷害保険に加入した場合、支払保険料の全額を損金の額に算入することができる。2021.5-18-1
    すべての役員・従業員を被保険者とする普通傷害保険を契約した場合、支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。2020.1-18-1
    すべての役員・従業員を被保険者とする積立普通傷害保険を契約した場合、支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。2020.1-18-2
    すべての従業員を被保険者とする普通傷害保険を契約する場合、保険料は全額を損金の額に算入する。2019.9-18-1
  3. 適切。法人が交通事故により自動車保険の保険金を受け取ったときには、保険金の額を「雑収入」として益金に算入します。また、自動車の修理に要した額は、修理費を「修繕費」として損金の額に算入できます。
  4. 適切。積立傷害保険は、日常のケガなどの傷害に備えながら、満期時には満期返戻金を受け取ることのできる貯蓄性のある保険です。
    満期時に受け取った満期返戻金と契約者配当金はその全額を益金に算入し、保険料支払時に積立保険料として資産に積み立ててきた累計額を取り崩して損金に算入します。両者の差額は雑収入または雑損失として処理します。
    積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、いずれもその2分の1相当額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入することができる。2021.5-18-2
    積立普通傷害保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、いずれも全額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を取り崩して損金の額に算入することができる。2021.1-19-4
    積立火災保険の満期返戻金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入する。2019.9-18-2
    積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金に算入する。2018.5-17-4
    積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金に算入する。2016.9-18-3
    積立傷害保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金に算入し、資産計上していた積立保険料の累計額を損金に算入する。2013.5-17-3
したがって不適切な記述は[1]です。