損害保険(全100問中27問目)

No.27

契約者(=保険料負担者)を法人とする損害保険契約の経理処理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2021年5月試験 問18
  1. すべての役員・従業員を被保険者とする普通傷害保険に加入した場合、支払保険料の全額を損金の額に算入することができる。
  2. 積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、いずれもその2分の1相当額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入することができる。
  3. 法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険の保険金で同一事業年度内に代替車両を取得した場合であっても、圧縮記帳は認められない。
  4. 業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金が保険会社から従業員の遺族へ直接支払われた場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金の額に算入することができる。

正解 1

問題難易度
肢155.7%
肢219.2%
肢38.9%
肢416.2%

解説

  1. [適切]。普通傷害保険は、国内・国外を問わず日常生活での様々な事故による損害を補償する保険で、業務中の役員や従業員の事故やケガの補償を目的に法人で加入することもあります。すべての役員・従業員を被保険者とする普通傷害保険の保険料は、受取人が法人であれば「支払保険料」、受取人が役員・従業員であれば「福利厚生費」として損金算入することができます。
    業務中の事故によりケガを負うリスクに備えて、すべての役員・従業員を被保険者および保険金受取人とする普通傷害保険に加入した場合、その支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。2022.5-18-2
    すべての役員・従業員を被保険者とする普通傷害保険を契約した場合、支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。2020.1-18-1
    すべての役員・従業員を被保険者とする積立普通傷害保険を契約した場合、支払った保険料の全額を損金の額に算入することができる。2020.1-18-2
    すべての従業員を被保険者とする普通傷害保険を契約する場合、保険料は全額を損金の額に算入する。2019.9-18-1
  2. 不適切。法人契約の積立火災保険では、支払保険料のうち積立部分の額を保険料積立金として資産計上しています。満期返戻金と契約者配当金を受け取った場合には、それまで資産計上していた保険料積立金の累計額を取り崩し、受取額との差額を雑収入または雑損失として計上します。
    積立傷害保険が満期を迎え、法人が満期返戻金と契約者配当金を受け取った場合、その全額を益金の額に算入し、資産に計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入することができる。2022.5-18-4
    積立普通傷害保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、いずれも全額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を取り崩して損金の額に算入することができる。2021.1-19-4
    積立火災保険の満期返戻金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金の額に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金の額に算入する。2019.9-18-2
    積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金に算入する。2018.5-17-4
    積立火災保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金に算入し、それまで資産計上していた積立保険料の累計額を損金に算入する。2016.9-18-3
    積立傷害保険の満期返戻金と契約者配当金を法人が受け取った場合、受け取った全額を益金に算入し、資産計上していた積立保険料の累計額を損金に算入する。2013.5-17-3
  3. 不適切。法人所有の建物や車両など、固定資産の損害に対する保険金を受け取り、一定期間内に代替資産を取得(改良)する場合、圧縮記帳が認められます。
    圧縮記帳とは、代替資産の取得時に所定の計算式で求めた「固定資産圧縮損」を計上して取得した固定資産の帳簿価額を下げる経理処理で、受け取った保険金に対する課税を繰り延べる効果があります。
    従業員が法人の所有する自動車で交通事故を起こし、法人が、当該車両が全損したことにより受け取った自動車保険の車両保険の保険金で業務用機械設備を取得した場合、圧縮記帳が認められる。2024.1-18-4
    法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険の保険金で同一事業年度内に代替車両を取得した場合、所定の要件に基づき圧縮記帳が認められる。2021.1-19-2
  4. 不適切。法人が契約する損害保険において、従業員やその遺族が保険会社から保険金を直接受け取った場合、当該保険金に関して法人は何ら経理処理することはありません。法人としては支払った保険料は経費として処理されており、資産計上をしていないので取り崩す仕訳が必要ありません。また、法人としては保険金を受け取っていないため収入として計上する必要もないためです。
    業務中の事故によるケガが原因で入院をした従業員が、普通傷害保険の入院保険金を保険会社から直接受け取った場合、法人は当該保険金相当額を益金の額に算入する。2024.1-18-1
    業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金が保険会社から従業員の遺族へ直接支払われた場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金の額に算入することができる。2021.1-19-3
    業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金を従業員の遺族が保険会社から受け取った場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金に算入する。2018.5-17-3
    業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金を従業員の遺族が保険会社から受け取った場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金に算入する。2016.9-18-2
したがって適切な記述は[1]です。