損害保険(全100問中3問目)

No.3

契約者(=保険料負担者)を法人、被保険者を従業員とする損害保険に係る保険金の経理処理に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2024年1月試験 問18
  1. 業務中の事故によるケガが原因で入院をした従業員が、普通傷害保険の入院保険金を保険会社から直接受け取った場合、法人は当該保険金相当額を益金の額に算入する。
  2. 業務中の事故で従業員が死亡したことにより、法人が普通傷害保険の死亡保険金を受け取った場合、法人は当該保険金相当額を益金の額に算入する。
  3. 従業員が法人の所有する自動車で対人事故を起こし、その相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険の保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金相当額を益金の額に算入する。
  4. 従業員が法人の所有する自動車で交通事故を起こし、法人が、当該車両が全損したことにより受け取った自動車保険の車両保険の保険金で業務用機械設備を取得した場合、圧縮記帳が認められる。

正解 2

問題難易度
肢110.8%
肢247.1%
肢313.0%
肢429.1%

解説

  1. 不適切。法人が契約する損害保険において、従業員やその遺族が保険会社から保険金を直接受け取った場合、当該保険金に関して法人は何ら経理処理することはありません。法人としては支払った保険料は経費として処理されており、資産計上をしていないので取り崩す仕訳が必要ありません。また、法人としては保険金を受け取っていないため収入として計上すべき額もないためです。
    業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金が保険会社から従業員の遺族へ直接支払われた場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金の額に算入することができる。2021.5-18-4
    業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金が保険会社から従業員の遺族へ直接支払われた場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金の額に算入することができる。2021.1-19-3
    業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金を従業員の遺族が保険会社から受け取った場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金に算入する。2018.5-17-3
    業務中の事故で従業員が死亡し、普通傷害保険の死亡保険金を従業員の遺族が保険会社から受け取った場合、法人は死亡保険金相当額を死亡退職金として損金に算入する。2016.9-18-2
  2. [適切]。損害保険の保険料は、積立型を除いて資産計上額がないので、法人が受け取った給付金は全額をそのまま益金に算入します。個人が受け取る場合のように、身体の傷害に係る給付金が非課税になるわけでないことに注意しましょう。
  3. 不適切。法人が契約する損害保険において、第三者が保険会社から保険金を直接受け取った場合、当該保険金に関して法人は何ら経理処理することはありません。法人は保険金を受け取っておらず、また取り崩すべき資産計上額もないためです。
    法人が所有する自動車で従業員が業務中に起こした対人事故により、その相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金に関して経理処理する必要はない。2020.1-18-3
    法人が所有する自動車で従業員が業務中に起こした対人事故により、その相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金に関して経理処理しなければならない。2019.9-18-3
    法人が所有する自動車で従業員が業務中に起こした対人事故により、その相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金に関して経理処理する必要はない。2016.1-17-2
    従業員が業務中に起こした自動車の対物事故により、その相手方に保険会社から自動車保険の対物賠償保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金に関して経理処理をする必要はない。2014.1-18-1
    法人が所有する自動車で従業員が業務中に起こした対人事故により、その相手方に保険会社から自動車保険の対人賠償保険金が直接支払われた場合、法人は当該保険金に関して経理処理する必要はない。2013.1-17-2
  4. 不適切。法人所有の建物や車両など、固定資産の損害に対する保険金を受け取り、一定期間内に代替資産を取得(改良)する場合、圧縮記帳が認められます。本肢では車両が全損したので、代替となる車両を取得した場合には圧縮記帳が認められます。しかし、業務用機械設備は代替資産ではないため、圧縮記帳は認められません。
    圧縮記帳とは、代替資産の取得時に所定の計算式で求めた「固定資産圧縮損」を計上して取得した固定資産の帳簿価額を下げる経理処理で、受け取った保険金に対する課税を繰り延べる効果があります。
    法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険の保険金で同一事業年度内に代替車両を取得した場合であっても、圧縮記帳は認められない。2021.5-18-3
    法人が所有する業務用自動車が交通事故で全損となり、受け取った自動車保険の車両保険の保険金で同一事業年度内に代替車両を取得した場合、所定の要件に基づき圧縮記帳が認められる。2021.1-19-2
したがって適切な記述は[2]です。