金融商品と税金(全34問中1問目)

No.1

上場株式等の譲渡および配当等(一定の大口株主等が受けるものを除く)に係る税金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、NISA(少額投資非課税制度)により投資収益が非課税となる口座をNISA口座という。
2024年1月試験 問28
  1. 上場株式の配当に係る配当所得の金額について、総合課税を選択して所得税の確定申告をした場合、特定口座内で生じた上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。
  2. NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。
  3. 上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、所得税の確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。
  4. NISA口座で取得した上場株式等を売却したことにより生じた損失の金額については、特定口座内で保有する上場株式等の配当等に係る配当所得の金額と損益通算することができない。

正解 1

問題難易度
肢157.2%
肢215.9%
肢314.0%
肢412.9%

解説

  1. [不適切]。上場株式の配当所得から上場株式の譲渡損失を控除するためには、どちらも申告分離課税を選択して確定申告をする必要があります。配当所得を総合課税として申告した場合、両者間の損益通算はできません。
    上場株式等の配当等について、総合課税を選択して確定申告をした場合、上場株式等に係る譲渡損失の金額と損益通算することができる。2023.9-29-1
    上場株式の配当について、総合課税を選択して確定申告をした場合、上場株式の譲渡損失の金額と損益通算することができる。2023.1-28-1
    上場株式の配当について、申告分離課税を選択して確定申告をした場合、上場株式の譲渡損失の金額と損益通算することができる。2019.9-27-2
  2. 適切。配当金の受取方法には、①株式数比例配分方式、②配当金領収証方式、③登録配当金受領口座方式、④個別銘柄指定方式の4種類がありますが、NISA口座で受け取った配当金を非課税扱いするためには「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。
    【参考】株式数比例配分方式を選択することで、非課税口座で保有する株式の配当は非課税口座に、課税口座で保有している株式の配当は課税口座に入金されることになります。他の方式では非課税口座と課税口座の配当が区別されずにまとめて支払われ、どの口座で買い付けた株式の配当なのか区別できないので非課税になりません。
    NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として登録配当金受領口座方式を選択しなければならない。2023.5-29-1
    NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。2023.1-28-3
    「成長投資枠」で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。2021.5-28-2
    NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として配当金領収証方式を選択しなければならない。2020.9-28-4
    「つみたて投資枠」で保有する上場投資信託(ETF)の分配金を非課税扱いにするためには、分配金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。2018.9-30-3
    「成長投資枠」で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。2018.5-29-3
    NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として株式数比例配分方式を選択しなければならない。2017.9-28-4
    NISA口座で保有する金融商品の配当金を非課税にするためには、株式数比例配分方式を選択しなければならない。2017.1-28-4
  3. 適切。上場株式等に係る配当所得等と損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることで、翌年以後3年間繰り越して、上場株式等の譲渡所得・配当所得の金額から控除することができます。
    上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式等に係る譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。2023.9-29-2
    上場株式等に係る配当所得等の金額と損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後5年間にわたって繰り越すことができる。2023.1-28-2
    損益通算してもなお控除しきれない上場株式の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。2019.9-27-3
    損益通算してもなお控除しきれない上場株式等の譲渡損失の金額は、確定申告をすることにより、翌年以後3年間にわたって繰り越すことができる。2019.1-29-4
  4. 適切。NISA口座内で生じた譲渡損失はなかったものとされるので、一般口座や特定口座で生じた譲渡益や配当金との損益通算や繰越控除はできません。
    NISA口座で保有する金融商品を売却することにより生じた損失は、特定口座で保有する上場株式等の配当と損益通算をすることができる。2017.1-28-2
したがって不適切な記述は[1]です。