金融派生商品(全18問中6問目)

No.6

金融派生商品の取引の一般的な仕組みや特徴等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2021年5月試験 問26
  1. オプション取引において、コール・オプションは「原資産を買う権利」であり、プット・オプションは「原資産を売る権利」である。
  2. 原資産を保有している投資家は、その先物取引で売りヘッジを行うことで、取引を行った時点以降の原資産価格の下落によって生じる評価損を先物取引の利益で相殺または軽減することができる。
  3. 先物価格が今後上昇すると予測される場合、先物取引で売建てし、後日、実際に相場が上昇したときに買い戻すことで利益を得ることができる。
  4. 金融派生商品を利用することで、現物取引を行った場合と同等の経済効果を、より少額の資金で実現することができる。

正解 3

問題難易度
肢17.2%
肢219.9%
肢350.9%
肢422.0%

解説

  1. 適切。オプション取引とは、将来の決められた期日に一定の価格で原資産を買う(売る)「権利」を売買する取引です。コール・オプションは「原資産を買う権利」、プット・オプションは「原資産を売る権利」です。以下のような覚え方があります。
    1. "コール"と"買う"はともにカ行始まり、"プット"と"売る"はともにウが母音
    2. "買う"ときはお店の人に声をかけるので"コール"、"売る"ときは市場に売物を置くので"プット"
    オプション取引において、コール・オプションは「権利行使価格で買う権利」であり、プット・オプションは「権利行使価格で売る権利」である。2024.1-26-1
    オプション取引において、コール・オプションの買い手は「権利行使価格で買う権利」を放棄することができるが、プット・オプションの買い手は「権利行使価格で売る権利」を放棄することができない。2023.9-27-3
  2. 適切。先物取引で売りヘッジを行うとその後の価格変動に関係なく、現時点の先物価格で現物を売却できます。その後、現物価格が下落した場合には、先物取引で得られる利益の分だけ現物取引の売却コストが抑えられます。逆に、現物価格が上昇した場合には先物取引では損失が出ますが、現物取引の取得コストが少なくなるので損失はそのコスト低下と相殺される形になります。
  3. [不適切]。先物価格が今後上昇すると予測した場合には、先物取引で買建てをします。後日、実際に相場が上昇したときに転売することで利益を得ることができます。
    一方、先物価格が今後下落すると予測した場合には、先物取引で売建てをします。後日、実際に相場が下落した時に買い戻すことで利益を得ることができます。
  4. 適切。金融派生商品とは、通貨や株式、為替などから派生して生まれた金融商品のことです。具体的には先物取引やオプション取引、スワップ取引などがあります。金融派生商品には、少額の資金で多額の取引ができるレバレッジ効果があります。また、将来の取引を現時点で確定させるためリスク軽減効果も期待されます。
    金融派生商品を利用する場合、現物取引を行った場合と同等の投資効果を得るには、現物取引よりも多額の資金を投入する必要がある。2022.5-27-1
したがって不適切な記述は[3]です。