ポートフォリオ運用(全38問中3問目)

No.3

ポートフォリオ理論の一般的な考え方等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年5月試験 問27
  1. ポートフォリオ理論は、期待リターンが同じであれば、投資家はリスクのより低い投資を選好する「リスク回避者」であることを前提としている。
  2. アセットアロケーションとは、投資資金を株式、債券、不動産等の複数の資産クラスに配分することをいう。
  3. 運用期間中、各資産クラスへの資産の配分比率を維持する方法として、値下がりした資産クラスの資産を売却し、値上がりした資産クラスの資産を購入するリバランスという方法がある。
  4. 各資産クラスのリスク量が同等になるように資産配分を行うリスクパリティ運用(戦略)では、特定の資産クラスのボラティリティが上昇した場合、当該資産クラスの資産の一部売却を行う。

正解 3

問題難易度
肢115.1%
肢29.6%
肢355.7%
肢419.6%

解説

  1. 適切。投資家を、同じ期待リターンに対して、どれだけリスクを許容できるかという観点で分けると「リスク回避者」「リスク中立者」「リスク愛好家」の3つに分類できます。現代のポートフォリオ理論では、低いリスクでリターンを得たい「リスク回避者」の満足度が高くなるように、同じリターンであればリスクをより低くできるポートフォリオが良しとされています。
    リスク回避者
    同じリターンであれば、よりリスクが少ない選択を行う投資家
    リスク中立者
    リターンの大きさだけで選択を行い、リスクの大小を考えない投資家
    リスク愛好家
    同じリターンであれば、よりリスクが大きい選択を行う投資家
  2. 適切。アセットアロケーション(asset allocation)は「資産配分」という意味で、分散投資によるリスク低減効果を目的に、国内/海外、株式/債券/不動産などの複数の資産クラスに配分することです。
    アセットアロケーションとは、リスクとリターンを勘案しながら、投資資金を複数の資産クラス(株式、債券、不動産等)に配分することである。2022.1-27-1
    アセットアロケーションとは、投資資金を複数の資産クラス(株式、債券および不動産等)に配分することである。2021.9-28-1
  3. [不適切]。リバランスでは、一般的に、値上がりした(構成比率が大きくなった)資産を売却して、値下がりした(構成比率が小さくなった)資産を購入することで配分比率を適正化します。
    投資開始当初は、投資目的に合ったベストなポートフォリオを組んで運用を始めますが、運用していくにつれ、資産ごとの値動きの違いにより、当初決めた配分比率から外れてしまうことがあります。これを当初の配分比率に戻す処理が「リバランス」です。
    運用期間を通して、定められた各資産クラスの投資金額の配分比率を維持する方法の一つとして、値上がりした資産クラスを売却し、値下がりした資産クラスを購入するリバランスという方法がある。2021.9-28-4
    運用期間を通して定められた資産クラスの金額の配分比率を維持する方法の一つとして、値上がりした資産クラスを売却し、値下がりした資産クラスを購入するリバランスという方法がある。2019.1-28-3
  4. 適切。リスクパリティ運用は、ポートフォリオ内の各資産クラスのリスクが同等になるように配分比率を調整し、リスク低減効果を高める運用方法です。ある資産クラスでボラティリティ(資産の価格変動の激しさを表す指標)が上昇すると、当該資産クラスのリスクが増加することになります。このとき、各資産クラスのリスク量を同等にするためには、ボラティリティが上昇した資産クラスを売却して(配分比率を低くして)、当該資産クラスのリスク量を減らす調整を行うことになります。
    各資産クラスの投資金額ではなくリスク量が同等になるように配分比率を調整するリスクパリティ運用(戦略)においては、特定の資産クラスのボラティリティが上昇した場合、当該資産を売却する。2021.9-28-3
    資産クラスの金額ではなくリスク量が同等になるように配分比率を決める運用においては、特定の資産クラスのボラティリティが上昇した場合、当該資産を売却する方法がある。2019.1-28-4
したがって不適切な記述は[3]です。