会社・役員間及び会社間の税務(全22問中18問目)

No.18

会社と役員間の税務に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2017年5月試験 問40
  1. 会社が役員に対して支給する給与のうち、定期同額給与(不相当に高額な部分など一定のものを除く)に該当するものは損金の額に算入される。
  2. 会社が役員の所有する土地を適正な時価よりも低い価額で取得した場合、その適正な時価と実際に支払った対価との差額は、その会社の受贈益になる。
  3. 会社が所有する建物を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額は、その役員への給与所得として取り扱われる。
  4. 会社が役員に対して金銭を無利息で貸し付けた場合、通常の利率により計算した利息の金額は、その役員の雑所得の収入金額として取り扱われる。

正解 4

問題難易度
肢110.0%
肢212.9%
肢312.3%
肢464.8%

解説

  1. 適切。役員や使用人に支給される給与などは費用となり損金算入されますが、税務上、損金算入するためには一定の制限が設けられていて、過大な部分の金額に関しては損金不算入となります。中でも役員に対する給与に関しては、以下に該当するものだけが損金算入できます。
    定期同額給与
    その支給時期が1ヶ月以内の一定の期間ごとの給与で支給額が同額の給与
    事前確定届出給与
    所定の時期に確定額を支給するために税務署へ事前に届出している給与
    業績連動給与
    利益に関する指標を基礎として算定される給与
    会社が役員に支給した退職金は、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、損金の額に算入される。2020.9-39-1
  2. 適切。役員が所有する資産を法人へ無償もしくは低額で譲渡した場合、法人側は時価で取得したものとされ、対価と時価の差額を受贈益として益金算入します。
    会社が役員の所有する土地を適正な時価よりも低い価格で取得した場合、その適正な時価と実際に支払った対価との差額は、その会社の受贈益になる。2017.9-39-3
  3. 適切。法人が所有する資産を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、適正な時価との差額が当該役員への役員給与(給与所得)とされます。その役員には給与所得として所得税・住民税が課税されます。
    会社が所有する建物を適正な時価よりも高い価額で役員に譲渡した場合、その会社の所得の金額の計算上、適正な時価と譲渡対価の差額は、益金の額に算入される。2022.5-39-3
    会社が所有する建物を適正な時価よりも高い価額で役員に譲渡した場合、譲渡価額と時価の差額が会社の受贈益となる。2022.1-39-1
    会社が所有する建物を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額が役員給与とされる。2021.3-40-1
    会社が所有する土地を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額が役員の給与所得の収入金額に算入される。2021.1-39-2
    会社が所有する資産を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額が、その役員の給与所得の収入金額となる。2020.9-39-2
    会社が所有する建物を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合、その適正な時価と譲渡価額との差額が役員給与とされる。2018.1-39-1
    会社が所有する土地を適正な時価よりも低い価額で役員に譲渡した場合は、その適正な時価と譲渡価額との差額はその役員への給与として取り扱われる。2017.1-39-1
    会社が所有する土地を適正な時価よりも高い価額で役員に譲渡した場合は、その適正な時価と譲渡価額との差額はその会社の受贈益として取り扱われる。2017.1-39-2
  4. [不適切]。会社が役員に対して金銭を貸した場合、一定のケースに該当するときを除いて、所定の利率により計算した利息と実際に支払う利息の差額が、役員への給与として課税されます。無利息の場合には、所定の利率により計算した利息がそのまま給与所得となります。「雑所得」ではありません。
したがって不適切な記述は[4]です。