会社・役員間及び会社間の税務(全22問中4問目)

No.4

会社と役員間の取引に係る所得税・法人税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年1月試験 問39
  1. 会社が役員からの借入金について債務免除を受けた場合、会社はその債務免除を受けた金額を益金の額に算入する。
  2. 会社が役員に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、会社の益金の額に算入される。
  3. 役員が所有する建物を適正な時価の2分の1以上かつ時価未満の価額で会社に譲渡した場合、役員は、時価相当額を譲渡価額として譲渡所得の計算を行う。
  4. 会社が役員に対して支給した退職金は、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、損金の額に算入することができる。

正解 3

問題難易度
肢113.7%
肢235.2%
肢339.8%
肢411.3%

解説

  1. 適切。会社が役員からの借入金について債務免除を受けた、つまり役員が会社への貸付金をチャラした場合、役員から会社への利益供与となるので、法人側ではその免除された額を債務免除益として益金の額に算入します。
    会社が役員からの借入金について債務免除を受けた場合、その債務免除を受けた金額が、その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。2023.9-39-2
  2. 適切。会社が役員に対して無利息で金銭を貸し付けた場合、一定のケースを除き、会社側は通常受け取るべき利息額を受取利息として益金の額に算入します。それとともに、役員への給与として損金処理を行います。役員側では本来支払うべき利息相当額が給与所得として課税されます。
    会社が役員に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、会社の益金の額に算入される。2024.1-39-1
    会社が役員に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。2023.9-39-1
    会社が役員に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その会社の所得金額の計算上、益金の額に算入される。2023.5-39-2
    役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額に算入される。2022.9-39-3
    役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額に算入される。2022.5-39-2
    会社が役員に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、その会社の所得の金額の計算上、適正な利率により計算した利息相当額が益金の額に算入される。2022.5-39-4
    会社が役員に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、会社の益金の額に算入される。2022.1-39-2
    役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額に算入される。2021.5-40-1
    役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が役員の雑所得の収入金額に算入される。2021.1-39-4
    役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額となる。2020.9-39-3
    役員が会社に無利息で金銭の貸付けを行った場合、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額となる。2020.1-39-1
    役員が会社に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合には、通常収受すべき利息に相当する金額について、役員には原則として課税されない。2019.5-40-4
    役員が会社に対して無利息で金銭の貸付けを行った場合には、原則として、通常収受すべき利息に相当する金額が、その役員の雑所得の収入金額になる。2019.1-40-3
  3. [不適切]。役員が時価相当額を譲渡価額として譲渡所得の計算を行うのは、役員所有の資産を時価の2分の1未満で譲渡した場合です。時価の2分の1以上で低額譲渡した場合は、通常どおり譲渡価額を譲渡収入額として譲渡所得の計算を行います。
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    役員が所有する建物を適正な時価の2分の1以上かつ適正な時価未満の価額で会社に譲渡した場合、その役員は、適正な時価により当該土地を譲渡したものとして譲渡所得の計算を行う。2024.1-39-4
    役員が所有する土地を適正な時価の2分の1未満の価額で会社に譲渡した場合、その役員は、適正な時価の2分の1に相当する金額により当該土地を譲渡したものとして譲渡所得の計算を行う。2023.9-39-3
    役員が所有する土地を適正な時価の2分の1未満の価額で会社に譲渡した場合、その役員は、適正な時価により当該土地を譲渡したものとして譲渡所得の計算を行う。2023.5-39-3
    役員が所有する建物を適正な時価の2分の1以上かつ時価未満の価額で会社に譲渡した場合、役員は、原則として、実際の譲渡価額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行う。2021.3-40-4
    役員が所有する建物を適正な時価の2分の1以上かつ時価未満の価額で会社に譲渡した場合、役員は原則として実際に譲渡した価額を収入金額として譲渡所得の金額の計算を行う。2018.9-39-2
    役員が所有する建物を会社に譲渡した場合において、その譲渡対価が適正な時価に満たないときには、役員は必ず時価により譲渡したものとみなされ譲渡所得の計算を行う。2016.1-40-2
  4. 適切。役員への退職金は、社会通念に照らして適正な額であれば、支払った全額をその事業年度の損金の額に算入できます。実務上は「役員最終報酬月額×役員在任年数×功績倍率」で計算された額が損金算入限度額とされています。
    会社が株主総会の決議を経て役員に対して退職金を支給した場合、その退職金の額は、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、その会社の所得金額の計算上、損金の額に算入することができる。2023.5-39-1
    会社が株主総会の決議を経て役員に対して退職金を支給した場合、その退職金の額は、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、その会社の所得金額の計算上、損金の額に算入することができる。2022.9-39-1
    会社が役員に支給した退職金は、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、その会社の所得金額の計算上、損金の額に算入される。2021.5-40-2
    会社が役員に対して定期同額給与を支給した場合には、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き、その会社の所得金額の計算上損金の額に算入される。2019.1-40-2
    会社が役員に対して退職給与を支給した場合には、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き損金の額に算入される。2018.1-39-2
    会社が役員に対して退職給与を支給した場合には、不相当に高額な部分の金額など一定のものを除き損金の額に算入される。2016.9-39-1
したがって不適切な記述は[3]です。