所得控除(全34問中17問目)

No.17

所得税における所得控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2018年1月試験 問34
  1. 納税者が保有する生活に通常必要な資産について、災害、盗難または横領による損失が生じた場合、一定の金額の雑損控除の適用を受けることができる。
  2. 医療費控除(「特定一般用医療品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」を除く)の控除額は、その年中に支払った医療費の金額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)の合計額から、総所得金額等の10%相当額を控除して計算される。
  3. 国民年金基金の掛金は、その全額が社会保険料控除の対象となる。
  4. 納税者が生計を一にする配偶者に青色事業専従者給与を支払った場合、その支払った金額の多寡にかかわらず、その納税者は配偶者控除を受けることができない。

正解 2

問題難易度
肢16.6%
肢273.5%
肢37.8%
肢412.1%

解説

  1. 適切。雑損控除とは、災害や盗難及び横領によって、資産について損害を受けた場合等に受けることができる所得控除です。生活に通常必要な資産が災害、盗難、横領によって被害を被った場合には、確定申告することで所得控除を受けられます。ただし詐欺による損害や別荘などの損害は対象外です。
    納税者が保有する生活に通常必要な資産について、災害、盗難または横領によって一定の損失が生じた場合、雑損控除の適用を受けることができる。2021.3-35-1
  2. [不適切]。記述の「10%相当額」の部分が不適切です。
    医療費控除額は以下の式で計算します。

     医療費控除額(最高200万円)=支払った医療費の総額-A-B
     A:保険等で補てんされる金額
     B:10万円と総所得金額等の5%相当額のうち低い方

    医療費控除額の計算において医療費の金額から控除されるのは「総所得金額等の5%相当額か10万円のいずれか低い方の金額」です。
    医療費控除(「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」を除く)の控除額は、その年中に支払った医療費の金額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)の合計額から、その年分の総所得金額等の合計額の10%相当額を控除して計算される。2021.3-35-4
    医療費控除の控除額は、その年中に支払った医療費の金額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)から、総所得金額等の合計額の5%相当額または10万円のいずれか低い方の金額を控除して算出され、最高200万円である。2016.9-34-1
  3. 適切。国民年金基金の加入者として負担した掛金は、全額社会保険料控除の対象となります。社会保険料に区分されるのは、国民年金法の規定に基づく制度だからです。
  4. 適切。配偶者控除は、生計を一にする配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下である場合に、納税者の所得から最高38万円(配偶者が70歳以上であれば48万円)を控除できる制度です。ただし、その配偶者が、青色事業専従者としてその年に1円でも給与支払いを受けていないこと、白色事業専従者でないことが適用条件です。
    青色申告者である納税者が、生計を一にする配偶者に支払った青色事業専従者給与が年間100万円である場合、納税者は配偶者控除の適用を受けることができる。2021.9-35-1
    納税者が生計を一にする子に青色事業専従者給与を支払った場合、その年分について納税者はその子について扶養控除の適用を受けることはできない。2014.5-34-4
したがって不適切な記述は[2]です。