不動産の取引(全90問中29問目)

No.29

不動産の売買契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。
2019年9月試験 問43
  1. 買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金を支払った後であっても、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した手付の倍額を買主に償還して契約を解除することができる。
  2. 未成年者が法定代理人の同意を得ずに不動産の売買契約を締結した場合、原則として、その法定代理人だけでなく、未成年者本人も、当該売買契約を取り消すことができる。
  3. 不動産について二重に売買契約が締結された場合、当該複数の買主間においては、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有権を取得する。
  4. 共有となっている建物について、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者全員の同意を得なければならない。

正解 2

問題難易度
肢119.7%
肢253.9%
肢315.2%
肢411.2%

解説

  1. 不適切。売買契約において、買主から売主に解約手付が交付された場合、その後契約を解除するためには、相手方が契約の履行に着手するまでに、買主はその解約手付を放棄し、売主はその解約手付の倍額を償還することで、当該売買契約を解除することができます。
    今回のケースでは買主が代金を支払っており、契約の履行に着手したとみなされるため、手付による契約解除はできません。
    買主が売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2022.9-43-3
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が代金の一部を支払った後でも、売主は、自らが契約の履行に着手するまでは、受領した代金を返還し、かつ、受領した手付の倍額を買主に現実に提供することにより、契約を解除することができる。2022.5-43-3
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後では、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供しても、契約を解除することができない。2019.5-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金を支払った後であっても、売主は、受領した代金を返還し、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約の解除をすることができる。2019.1-42-4
    民法では、買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2018.1-43-2
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が売買代金の一部を支払った後でも、売主は、受領した代金を返還し、かつ、手付金の倍額を現実に提供することにより、契約を解除することができる。2017.5-43-1
    買主が、売主に解約手付を交付した後、売買代金の一部を支払った場合は、買主の契約の履行の着手に当たるため、売主は、解約手付の倍額を現実に提供することによる契約の解除をすることができない。2016.5-43-1
    買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付の倍額を買主に現実に提供することにより、売買契約を解除することができる。2015.1-42-1
    買主が売主に解約手付を交付した後、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を買主に現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2014.1-44-4
    買主が売主に解約手付を交付し、さらに売買代金の一部を支払った場合、売主は、受領した売買代金を返還し、かつ、解約手付の倍額を現実に提供すれば、売買契約を解除することができる。2013.9-43-1
    民法では、解約手付が交付された場合、買主が売買代金の一部を支払った後では、売主は手付金の倍額償還による売買契約の解除はできないとされる。2013.1-42-1
  2. [適切]。未成年者が契約等の法律行為を行う際は、法定代理人(多くの場合は親)の同意を得る必要があります。もし、未成年者が法定代理人の同意を得ずに売買契約を締結した場合、本人または法定代理人は民法の規定に従い当該契約を取り消すことができます。
    未成年者が法定代理人の同意を得ずに不動産の売買契約を締結した場合であっても、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことはできない。2021.3-43-1
    民法では、未成年者が法定代理人の同意を得ずに売買契約を締結した場合、原則として、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができる。2019.5-43-4
    未成年者が法定代理人の同意を得ないで不動産の売買契約を締結した場合、自らを成年者であると信じさせるため詐術を用いたときは、その売買契約を取り消すことができない。2019.1-42-3
    未成年者が法定代理人の同意を得ずに売買契約を締結した場合、その法定代理人は当該売買契約を取り消すことができる。2016.5-43-2
  3. 不適切。不動産について二重に売買契約が締結された場合、売買契約の先後ではなく、先に所有権移転登記を備えた方が別の買主に対して所有権を主張できます。不動産の第三者対抗要件は登記だからです。
    同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、売買契約の締結の先後にかかわらず、原則として、所有権移転登記を先にした者が、当該不動産の所有権の取得を他方に対抗することができる。2023.9-43-1
    同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、所有権移転登記の先後にかかわらず、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有者となる。2023.5-43-1
    同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、所有権移転登記の先後にかかわらず、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有者となる。2022.5-43-4
    同一の不動産について二重に売買契約が締結された場合、譲受人相互間においては、登記の先後にかかわらず、原則として、売買契約を先に締結した者が当該不動産の所有権を取得する。2020.9-43-3
  4. 不適切。共有持分は所有権の一種ですから、各共有者は自分の持分を自由に処分(第三者への譲渡や売却などが)できます。他の共有者の同意は不要です。他の共有者全員の同意が必要なのは、共有物を変更・処分する場合です。
    不動産が共有されている場合に、各共有者が、自己の有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者の同意を得る必要がある。2023.9-43-3
    不動産が共有されている場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者全員の同意を得なければならない。2023.5-43-3
    不動産が共有されている場合に、各共有者が、自己が有している持分を第三者に譲渡するときは、他の共有者の同意を得る必要はない。2023.1-43-2
    建物が共有の場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者の同意は必要としない。2022.5-43-2
    不動産が共有されている場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者全員の同意を得なければならない。2021.9-42-2
    建物が共有の場合、各共有者は、自己が有している持分を第三者に譲渡するときには、他の共有者全員の同意を得なければならない。2020.9-43-2
したがって適切な記述は[2]です。