不動産の取引(全90問中31問目)

No.31

借地借家法に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問においては、同法における定期建物賃貸借契約を定期借家契約といい、それ以外の建物賃貸借契約を普通借家契約という。
2019年9月試験 問45
  1. 期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由があると認められるときでなければ、賃貸人に対して更新しない旨の通知をすることができない。
  2. 普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後、その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。
  3. 定期借家契約は、公正証書以外の書面によっても、締結することができる。
  4. 定期借家契約では、賃貸借期間が1年以上の場合、賃貸人は、原則として、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に賃借人に対して期間満了により契約が終了する旨の通知をしなければ、その終了を賃借人に対抗することができない。

正解 1

問題難易度
肢163.7%
肢212.0%
肢312.0%
肢412.3%

解説

  1. [不適切]。普通借家契約では、貸主都合による立退き請求から借主を守るため、賃人が契約更新を拒絶するときには正当事由が必要とされています。しかし、本肢は賃人による更新拒絶なので正当事由は不要です。
    期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由がなければ、賃貸人に対し、更新しない旨の通知をすることができない。2022.9-44-2
    期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由がなければ、賃貸人に対し、更新しない旨の通知をすることができない。2022.1-44-1
    期間の定めがある普通借家契約において、賃借人は、正当の事由がなくとも、賃貸人に対して更新しない旨の通知をすることができる。2021.9-44-2
    期間の定めがある普通借家契約において、賃借人が更新拒絶の通知をするためには、正当の事由が必要である。2018.9-44-3
    期間の定めがある普通借家契約における賃借人から更新しない旨の通知は、賃借人に正当の事由があると認められるときでなければ、することができない。2018.5-45-1
    期間の定めがある普通借家契約において賃借人が更新拒絶の通知をする場合、正当の事由があると認められるときでなければすることができない。2017.1-45-3
  2. 適切。建物の賃貸借では、建物の引渡しを受けることが第三者対抗要件となっています。よって、賃借権の登記をしていなくても鍵を受け取る等の引渡し後であれば、建物の新所有者に対して賃借権を対抗することができます。
    定期借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に建物の賃借権を対抗することができる。2023.1-45-2
    普通借家契約において、賃借人は、原則として、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2021.5-43-2
    賃借人は、原則として、建物の賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物の物権を取得した者に対し、建物の賃借権を対抗することができる。2021.3-44-4
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2021.1-44-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に対抗することができる。2018.5-45-2
    普通借家契約において、賃借人は、その建物の賃借権の登記がなくても、引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2017.1-45-4
    定期借家契約において、建物賃借人は、その建物について賃借権の登記がなくても、建物の引渡しを受けていれば、その後その建物について物権を取得した者に賃借権を対抗することができる。2016.5-44-4
    普通借家契約では、賃借権の登記がなくても建物の引渡しがあれば、その後にその建物の所有権を取得した者に対して、賃借人は、建物の賃借権を対抗することができる。2016.1-44-3
    普通借家契約において、賃借人は建物に賃借権の登記がなくても、建物の引渡しがあったときは、その後その建物の所有権を取得した者に対し、建物の賃借権を対抗することができる。2015.9-44-4
  3. 適切。定期借家契約は、公正証書などの書面または電磁的記録でしなければなりません。公正証書は例示にすぎないので、公正証書以外の書面であっても有効に締結することができます。借地借家法の契約のうち、契約方法が公正証書に限定されるのは事業用定期借地権等だけです。
    定期借家契約は、公正証書以外の書面でも締結することができる。2023.1-45-4
    定期借家契約は、もっぱら居住の用に供する建物に限られ、事業の用に供する建物については締結することができない。2022.9-44-3
    定期借家契約は、もっぱら居住の用に供する建物に限られ、事業の用に供する建物については締結することができない。2020.9-45-2
  4. 適切。定期借家契約の期間が1年以上の場合、賃貸人は、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に、賃借人に対して契約が終了する旨の通知をしなければ、期間満了による賃貸借の終了を賃借人に対抗できません。なお、1年未満の契約の場合、通知の必要はなく期間満了をもって当然に終了となります。
    賃貸借期間が1年以上の定期借家契約の場合、賃貸人は、原則として、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に賃借人に対して契約が終了する旨の通知をしなければ、契約期間満了での終了を賃借人に対抗することができない。2018.5-45-3
    定期借家契約では、賃貸借期間が1年以上の場合、賃貸人は、原則として、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に賃借人に対して契約が終了する旨の通知をしなければ、その終了を賃借人に対抗することができない。2018.1-45-2
    賃貸借期間が1年以上の定期借家契約の場合、賃貸人は、原則として、期間満了の1年前から6ヵ月前までの間に賃借人に対して契約が終了する旨の通知をしなければ、その終了を賃借人に対抗することができない。2017.5-45-2
    賃貸借期間が1年以上である定期借家契約の賃貸人は、賃貸借期間が満了する3ヵ月前までに、賃借人に対して賃貸借期間の満了により賃貸借が終了する旨の通知をしなければ、その終了を建物の賃借人に対抗することができない。2016.1-44-4
したがって不適切な記述は[1]です。