相続と法律(全68問中12問目)

No.12

遺産の分割に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2022年9月試験 問53
  1. 遺産の分割は、民法上、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して行うものとされている。
  2. 遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人はその分割を公証人に請求することができる。
  3. 被相続人は、遺言で、相続開始の時から1年間に限り、遺産の分割を禁ずることができる。
  4. 相続財産である不動産を、共同相続人間で遺産分割するために譲渡して換価した場合、その譲渡による所得は、所得税法上、非課税所得とされている。

正解 1

問題難易度
肢159.2%
肢216.0%
肢311.2%
肢413.6%

解説

  1. [適切]。民法では、遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して行うこととされています。年少者、障害を有する者、生活困窮者など各相続人の実情に応じた細かい配慮をして、各人にふさわしい財産が配分されるように分割すべきという趣旨の規定です。
    遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して行うものとされている。2019.5-54-2
    遺産の分割は、遺産に属する物または権利の種類および性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態および生活の状況その他一切の事情を考慮して行うものとされている。2017.9-54-2
  2. 不適切。共同相続人間において遺産分割協議が調わない場合、家庭裁判所に対して遺産分割の調停を申し立て(調停分割※1)、それでも合意成立しない場合、家事裁判官による審判を行い(審判分割※2)、遺産分割が行われます。本肢は「公証人に請求」としているため誤りです。
    ※1客観的な立場の調停委員に間に入ってもらい、当事者である相続人同士が、裁判所で話し合う手続きのこと
    ※2裁判官が諸般の事情を考慮して、遺産分割の方法を決定する手続きのこと
    遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、原則として、各共同相続人はその分割を家庭裁判所に請求することができる。2021.1-54-3
    遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。2019.5-54-3
    遺産の分割について、共同相続人の間で協議が調わない場合には、各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停または審判を申し立てることができる。2019.1-56-1
    遺産の分割について、共同相続人間で協議が調わないとき、または協議をすることができないときは、各共同相続人は、その分割を家庭裁判所に請求することができる。2017.9-54-3
    遺産の分割について、共同相続人の間で協議が調わない場合、各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができる。2015.5-55-4
    遺産の分割について、共同相続人の間で協議が調わない場合、各共同相続人は家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てることができる。2014.5-54-2
  3. 不適切。遺産の分割は、原則として相続が開始した後は自由にできますが、被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁じることができます。
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2023.1-55-4
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から10年間、遺産の分割を禁ずることができる。2020.1-56-4
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2019.5-54-1
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から10年間、遺産の分割を禁ずることができる。2017.9-54-1
    被相続人は、遺言により、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2016.1-55-1
    被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2015.10-54-1
  4. 不適切。換価分割は、相続財産の全部または一部を現金化して、その代金を共同相続人間で分けることで遺産分割をする方法です。共同相続人が換価代金を受け取った場合、換価代金の配分割合で相続財産を取得して売ったとみなされるため、譲渡益があれば、各相続人の譲渡所得として所得税の課税対象になります。
    相続財産である不動産を、共同相続人間で遺産分割するために譲渡して換価した場合、その譲渡による所得は、所得税において非課税所得とされている。2023.1-55-3
    相続財産である不動産を、共同相続人間で遺産分割するために譲渡して換価した場合、その譲渡による所得は、所得税において非課税所得とされている。2020.1-56-3
したがって適切な記述は[1]です。