相続と法律(全68問中15問目)

No.15

民法上の相続人等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2022年1月試験 問55
  1. 成年に達した者は、尊属または年長者以外の者を養子とすることができるが、養子には人数制限があり、実子のいる者は1人まで、実子のいない者は2人までである。
  2. 被相続人の配偶者は、常に相続人となり、被相続人に子がいる場合、子が第1順位の相続人となる。
  3. 被相続人の子が相続開始以前に廃除により相続権を失った場合、その者に子がいるときは、その子(被相続人の孫)は代襲相続人となる。
  4. 胎児は、死産とならない限り、相続開始時にすでに生まれたものとみなされる。

正解 1

問題難易度
肢141.1%
肢217.0%
肢330.0%
肢411.9%

解説

  1. [不適切]。相続税の計算をするに当たっては、法定相続人の数に算入できる養子の数には制限がありますが、民法上では養子をとれる数に制限はありません。相続税の計算で養子の数に制限があるのは、養子の数を増やして相続税額逃れをする不正を防ぐためです。
  2. 適切。相続人の配偶者は常に法定相続人となり、被相続人に子がいる場合は第1順位として「子」が相続人となります。子がいないときには第2順位「直系尊属」、子も直系尊属もいないときには第3順位「兄弟姉妹」と、子→直系尊属→兄弟姉妹の順で配偶者とともに法定相続人となります。
    被相続人に子がいる場合、その子は第1順位の相続人となる。2020.1-54-1
    被相続人に子がいる場合、その子は第1順位の相続人となる。2017.5-54-3
  3. 適切。代襲相続は、相続人となるべきだった人が「死亡・欠格・廃除」により相続できないときに発生します(相続放棄は代襲相続なし)。廃除の場合にも代襲相続が生じるので、本肢は適切です。
    ※「廃除」とは、被相続人に対しての虐待や重大な侮辱があった場合に、被相続人が家庭裁判所に請求したことにより、その推定相続人の相続権が失われている状態です。
    被相続人の子が廃除により相続権を失った場合、その者に被相続人の直系卑属である子がいるときは、その子(被相続人の孫)は代襲相続人となる。2024.1-54-3
    被相続人の子が相続開始以前に廃除により相続権を失っているときは、その相続権を失った者に子がいても、その子(被相続人の孫)は代襲相続人とならない。2020.1-54-2
  4. 適切。相続開始時に胎児である者は、すでに生まれたものとみなされ、死産以外は子としての相続権が認められます。
したがって不適切な記述は[1]です。