相続と法律(全68問中21問目)

No.21

民法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2021年1月試験 問60
  1. 配偶者居住権とは、被相続人の配偶者が相続開始時に居住していた被相続人所有の建物について、配偶者があらかじめ期限を定めて無償で使用、収益することができる権利をいい、その期間を終身に設定することはできない。
  2. 被相続人に対して無償で療養看護等の労務の提供をしたことにより被相続人の財産の維持等について特別の寄与をした特別寄与者は、相続の開始後、相続人に対し、その寄与に応じた額の金銭(特別寄与料)の支払いを請求することができる。
  3. 遺留分侵害額請求権とは、遺留分権利者およびその承継人が、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求することができる権利をいい、請求先は受遺者に限られる。
  4. 遺言者が自筆証書遺言を作成する場合において、自筆証書に財産目録を添付するときは、その目録も自書しなければ無効となる。

正解 2

問題難易度
肢19.2%
肢260.3%
肢321.7%
肢48.8%

解説

  1. 不適切。配偶者居住権は、相続対象となった建物の価値を所有権と居住権に分け、所有権を配偶者以外の相続人が、居住権を配偶者が取得することで、配偶者が終身その自宅に無償で住み続けられる仕組みです。配偶者居住権の存続期間は、遺言や遺産分割協議にて別段の定めのある場合を除き、終身とされています。
  2. [適切]。被相続人の親族であり相続人以外の者(孫や子の配偶者等)が、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務の提供をしたことにより、被相続人の財産の維持又は増加について特別の寄与をした場合は、相続開始後、相続人に対して寄与に応じた金銭の支払いを請求できます(特別寄与分)。
  3. 不適切。遺留分侵害額請求権は、遺留分を侵害された相続人が、侵害額に相当する金銭の支払いを受遺者や受贈者に対して請求できるものです。
    遺留分の算定基礎となる財産には相続財産に加えて以下が含まれるので、受遺者だけでなく受贈者にも請求可能となっています。
    • 相続開始前1年以内にした贈与
    • 贈与時期にかかわらず、当事者双方が遺留分権利者に損害を与えることを知ってした贈与
    • 相続開始前10年以内に相続人にした贈与
  4. 不適切。自筆遺言証書は遺言書の全文、日付及び氏名を自書して、これに押印して作成しますが、自筆遺言証書に添付する財産目録についてのみ自書でなくても良いことになっています(パソコンでの作成や通帳のコピーでも可)。ただし、自筆でない財産目録の各ページに署名押印が必要です。
    遺言者が自筆証書遺言を作成する場合において、自筆証書遺言に財産目録を添付するときは、その目録も自書しなければ無効となる。2021.5-60-3
    自筆証書遺言を作成する場合、自筆証書に添付する財産目録についても、自書しなければならない。2020.1-60-2
したがって適切な記述は[2]です。