相続と法律(全68問中3問目)

No.3

民法上の相続分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない事項については考慮しないものとする。
2023年9月試験 問55
  1. 被相続人は、遺言で、共同相続人の相続分を定めることができるが、これを定めることを第三者に委託することはできない。
  2. 共同相続人の1人が遺産の分割前にその相続分を共同相続人以外の第三者に譲り渡した場合、他の共同相続人は、当該第三者に対して一定期間内にその価額および費用を支払うことで、その相続分を譲り受けることができる。
  3. 父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の法定相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の法定相続分と同じである。
  4. 養子の法定相続分は、実子の法定相続分の2分の1である。

正解 2

問題難易度
肢118.9%
肢245.6%
肢327.1%
肢48.4%

解説

  1. 不適切。被相続人は遺言によって、相続分を指定することができますが、相続分の指定内容の決定を相続人以外の第三者に委託することも可能です。相続分の指定に迷うときには、事前に専門家に相談しておき、遺言でその者に委託する旨を記載するなどができます。
    被相続人は、遺言で、共同相続人の相続分を定め、またはこれを定めることを第三者に委託することができる。2017.1-55-1
  2. [適切]。相続人となった者は、遺産分割前に自己の相続分を他の相続人または第三者に譲り渡すことができます。相続分が相続人以外の者に譲渡された場合、遺産分割や遺産管理に関してトラブルの発生が懸念されるため、共同相続人は譲渡から1カ月以内に意思表示をし、相当の対価を支払うことでその第三者が譲り受けた相続分を取り戻すことができます。
  3. 不適切。被相続人と両親の片方だけが同じである兄弟姉妹が相続人である場合、その兄弟姉妹の法定相続分は両親がともに同じである兄弟姉妹の相続分の2分の1となります。下図のように、兄弟姉妹と異父・異母兄弟が法定相続人となるときに適用される規定です。
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    父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の法定相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の法定相続分の2分の1である。2023.1-54-2
    被相続人と父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の法定相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の法定相続分の2分の1である。2021.5-53-3
    被相続人と父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分と同じである。2019.1-55-3
    被相続人と父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の2分の1である。2018.1-54-1
    父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の4分の1となる。2016.9-54-1
  4. 不適切。養子は、養子縁組の日から養親の法律上の子となります。法定相続分についても実子と養子は同じです。
    養子の法定相続分は、実子の法定相続分の2分の1である。2023.1-54-1
    嫡出でない子の法定相続分は、嫡出である子の法定相続分と同じである。2023.1-54-4
    養子の法定相続分は、実子の法定相続分の2分の1である。2021.5-53-4
    養子(特別養子ではない)の相続分は、実子の相続分の2分の1である。2019.1-55-1
    養子(特別養子ではない)の法定相続分は、実子の法定相続分の2分の1となる。2014.9-53-1
    養子の法定相続分は、実子の法定相続分の2分の1である。2013.9-54-2
したがって適切な記述は[2]です。