相続と法律(全68問中40問目)

No.40

遺産分割協議に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、相続人はすべて日本国内に住所を有するものとする。
2017年5月試験 問55
  1. 相続人が被相続人の妻、長男(遺産分割時において15歳)の2人である場合、長男においては特別代理人の選任が必要であり、その特別代理人が遺産分割協議に参加できる。
  2. 相続人が被相続人の妻、長女(遺産分割時において18歳)の2人である場合、長女は遺産分割協議に参加できる。
  3. 被相続人の遺言がない場合、共同相続人全員による遺産分割協議により分割することになるが、共同相続人全員が合意すれば、法定相続分どおりに分割する必要はない。
  4. 共同相続人間における遺産分割協議が調わない場合や協議ができない場合、相続人は、家庭裁判所の調停に先立って、審判による遺産分割を申し立てなければならない。

正解 4

問題難易度
肢123.5%
肢212.0%
肢38.3%
肢456.2%

解説

  1. 適切。未成年者は法律行為ができないため、通常は親権を持つ親が法定代理人になります。しかし、このケースのように妻と長男が「利益相反関係」にある場合、妻(親)は代理人になることができず、特別代理人を選任しその代理人が遺産分割協議に参加します。
  2. 適切。相続人が成年者である場合には、遺産分割協議に参加することができます。2022年4月1日より成年年齢は18歳に引き下げられていますので、長女(18歳)は遺産分割協議に参加できます。
  3. 適切。被相続人の遺言がない場合、必ずしも法定相続分どおりに分割する必要はなく、共同相続人全員による遺産分割協議により共同相続人全員が合意すれば、法定相続分と異なる割合で分割しても構いません。
    協議分割においては、共同相続人全員が合意すれば、必ずしも法定相続分に従って遺産を分割する必要はない。2019.1-56-2
    協議分割においては、共同相続人全員が合意すれば、必ずしも法定相続分に従って遺産を分割する必要ない。2017.9-54-4
    協議分割は、共同相続人全員の協議により分割する方法であり、その分割割合については、必ずしも法定相続分に従う必要はない。2015.5-55-1
  4. [不適切]。共同相続人間における遺産分割協議が調わない場合や協議ができない場合は、相続人は、家庭裁判所による遺産分割の調停を利用することができます。そして、調停でも合意しなかった場合に、自動的に審判手続きに移行し審判分割を行うことになります。
    共同相続人において遺産分割協議が調わない場合には、家庭裁判所に対して、調停による遺産分割申立てに先立って、審判による遺産分割の申立てをしなければならない。2016.1-55-4
したがって不適切な記述は[4]です。