相続と法律(全68問中49問目)

No.49

遺産分割に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2016年1月試験 問55
  1. 被相続人は、遺言により、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。
  2. 共同相続人は、遺言により遺産の分割を禁じられている場合を除き、相続の開始があったことを知った日の翌日から6ヵ月以内に遺産分割を行わなければならない。
  3. 遺産分割協議が適法に成立した場合には、共同相続人全員の合意があったとしても、遺産の再分割協議をすることは認められない。
  4. 共同相続人において遺産分割協議が調わない場合には、家庭裁判所に対して、調停による遺産分割申立てに先立って、審判による遺産分割の申立てをしなければならない。

正解 1

問題難易度
肢159.3%
肢27.6%
肢36.7%
肢426.4%

解説

  1. [適切]。遺産の分割は、原則として相続が開始した後は自由にできますが、被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて遺産の分割を禁じることができます。
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2023.1-55-4
    被相続人は、遺言で、相続開始の時から1年間に限り、遺産の分割を禁ずることができる。2022.9-53-3
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から10年間、遺産の分割を禁ずることができる。2020.1-56-4
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2019.5-54-1
    被相続人は、遺言によって、相続開始の時から10年間、遺産の分割を禁ずることができる。2017.9-54-1
    被相続人は、遺言で、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺産の分割を禁ずることができる。2015.10-54-1
  2. 不適切。遺産分割についての期限は設けられていません。ただし、相続税の申告期限内(相続開始後10ヶ月)に遺産分割協議ができなかった場合は、一旦、法定相続分で分割したものとして算出した相続税を支払わなければなりません。
    相続人は、相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヵ月以内に遺産分割を行わなければならない。2014.5-54-1
  3. 不適切。遺産分割協議が適法に成立した場合でも、共同相続人全員の合意があれば、遺産の再分割協議をすることが認められています。
  4. 不適切。共同相続人間において遺産分割協議が調わない場合、家庭裁判所に対して遺産分割の調停を申し立て(調停分割※1)、それでも合意成立しない場合、家事裁判官による審判を行い(審判分割※2)、遺産分割が行われます。
    ※1客観的な立場の調停委員に間に入ってもらい、当事者である相続人同士が、裁判所で話し合う手続きのこと
    ※2裁判官が諸般の事情を考慮して、遺産分割の方法を決定する手続きのこと
    共同相続人間における遺産分割協議が調わない場合や協議ができない場合、相続人は、家庭裁判所の調停に先立って、審判による遺産分割を申し立てなければならない。2017.5-55-4
したがって適切な記述は[1]です。