相続と法律(全68問中6問目)

No.6

遺産の分割に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年5月試験 問53
  1. 共同相続人は、一定の場合を除き、遺産の全部ではなく一部の分割内容のみを定めた遺産分割協議書を作成することができる。
  2. 換価分割は、共同相続人が相続により取得した財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人の間で分割する方法である。
  3. 代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。
  4. 相続人が代償分割により他の相続人から交付を受けた代償財産は、相続税の課税対象となる。

正解 3

問題難易度
肢112.6%
肢210.1%
肢359.7%
肢417.6%

解説

  1. 適切。共同相続人は、いつでも遺産の全部または一部を分割することができます。遺産分割が2回以上に分かれるときなどは、遺産の一部だけに関する遺産分割協議書を作成することも可能です。
  2. 適切。換価分割は、相続財産の全部または一部を現金化して、その代金を共同相続人間で分けることで遺産分割をする方法です。
    換価分割は、共同相続人が相続によって取得した不動産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人の間で分割する方法である。2019.1-56-3
    換価分割において、共同相続人が相続によって取得した財産の全部または一部を換価し、その換価代金を分割した場合、各相続人が取得した換価代金は、所得税において非課税所得とされている。2016.9-59-4
    換価分割は、共同相続人が相続によって取得した財産の全部または一部を金銭に換価し、その換価代金を共同相続人間で分割する方法である。2015.5-55-2
  3. [不適切]。代償分割は、共同相続人のうち特定の者に相続財産の現物を取得させ、その取得した相続人が、他の相続人に対して代わりとなる自己の財産(代償財産)を交付する方法です。家庭裁判所の審判を受ける必要はなく、遺産分割協議においても選択することができます。
    代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる。2023.1-55-2
    代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。2020.1-56-2
    代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、共同相続人が家庭裁判所に申し立て、その審判を受けることにより認められる分割方法である。2019.1-56-4
    代償分割は、現物分割を困難とする事由がある場合に、相続人全員が共同して家庭裁判所に申述することにより認められる分割方法である。2015.5-55-3
  4. 適切。代償分割が行われた場合、代償財産を交付した人と交付を受けた人の相続税の課税価格は以下のようになります。
    • 交付した人 … 相続した財産の価額代償財産の価額
    • 交付を受けた人 … 相続した財産の価額代償財産の価額
    相続人が代償分割により代償財産の交付を受けた場合、代償財産を含めた額が相続税の課税対象になります。
したがって不適切な記述は[3]です。