相続と税金(全59問中16問目)

No.16

相続人が負担した次の費用等のうち、相続税の課税価格の計算上、相続財産の価額から債務控除することができるものはどれか。なお、債務控除を受けるために必要とされる他の要件はすべて満たしており、2023年10月に相続が開始したものとする。
2021年5月試験 問54
  1. 被相続人が生前に購入した墓碑の購入代金で、相続開始時点で未払いのもの(負担した相続人が非居住無制限納税義務者である場合)
  2. 被相続人に係る初七日および四十九日の法要に要した費用のうち、社会通念上相当と認められるもの(負担した相続人が居住無制限納税義務者である場合)
  3. 被相続人が所有していた海外の不動産に係る公租公課で、被相続人が負担すべきもののうち、納付期限が到来していて未払いのもの(負担した相続人が居住制限納税義務者である場合)
  4. 被相続人が所有していた国内不動産に係る固定資産税のうち、相続開始時点で納税義務は生じているが、納付期限が到来していない未払いのもの(負担した相続人が相続または遺贈により財産を取得していない相続時精算課税適用者で、かつ、居住者である場合)

正解 4

問題難易度
肢110.6%
肢213.5%
肢317.0%
肢458.9%

解説

  1. 不適切。墓地・墓碑・仏具等は非課税財産のため、この購入代金が未払いであったとしても債務控除の対象にはなりません。もし債務控除の対象になれば、高額な墓碑等を購入することで相続税額を下げることができてしまうからです。また、本肢は債務控除の対象外のため、納税義務者の区分は関係ありません。
  2. 不適切。通夜や告別式などの葬式費用は債務控除の対象ですが、初七日および四十九日の法要費用は債務控除の対象にはなりません。ただし、初七日法要については、通夜・告別式と同時に行っており葬儀会社からの請求代金で区別されていない場合には、葬儀費用に含めることができるとされています。
  3. 不適切。相続人が居住制限納税義務者である場合、相続した国内財産が相続税の課税対象となります。同様に債務控除も国内財産に係るものが対象です。本肢の場合、被相続人が海外に所有していた不動産にかかる公租公課の債務なので、債務控除の対象にはなりません。
  4. [適切]。相続時精算課税の適用者であるが、相続または遺贈により財産を取得しなかった者は、国内居住者であれば債務控除を受けられます。本肢の相続人はこの条件に一致するので、被相続人が負担するべきであった未払いの固定資産税は債務控除することができます。
したがって適切な記述は[4]です。