不動産の相続対策(全26問中10問目)

No.10

遺産分割対策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2019年5月試験 問59
  1. 公正証書遺言により遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における相続人間のトラブルの発生を防止する対策として効果的である。
  2. 分割が困難な土地を所有している場合に、相続開始前に相続人間で分割がしやすい資産に入れ替えておくことは、遺産分割対策として効果的である。
  3. 被相続人が生前に推定相続人と話し合い、相続の放棄をする旨を家庭裁判所に申述させることは、遺産分割対策として効果的である。
  4. 代償分割を予定している場合、特定の財産(遺産)を取得する相続人は、他の相続人に対して代償債務を負担しなければならないため、相続開始前に代償債務の履行財源(現金その他の財産)を確保しておくことが望ましい。

正解 3

問題難易度
肢11.5%
肢27.6%
肢379.4%
肢411.5%

解説

  1. 適切。自筆証書遺言は簡便ですが、その反面、遺言者の知識不足により無効となったり遺留分を侵害してしまったり等、トラブルに繋がることも考えられます。一方で、公正証書遺言は、遺言者が口述した内容を公証人に作成してもらうので法に則した内容が期待できます。原本は公証役場に保管されるため、改ざんや紛失の可能性がありません。このため、公正証書遺言は将来の遺産分割に係る争いを防止するための遺産分割対策として有効です。
    ※公証人には、元裁判官や元検察官法務省職員などが任命されています。
    公正証書遺言により相続分や遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における相続人間のトラブルの発生を防止する対策として効果的である。2021.5-58-4
    遺言により遺産分割方法を指定しておくことは、遺産分割における共同相続人間のトラブルの発生を防止するのに効果的である。2017.9-59-1
  2. 適切。土地・建物等、分割が困難な相続資産を所有している場合、相続が開始する前にその土地等を分割のしやすい金融資産等に変えておくことは、遺産分割対策として有効です。
    分割が困難な土地等を所有している場合、相続開始前にその土地等を共同相続人間で分割がしやすい資産に変換しておくことは、有効な遺産分割対策になり得る。2015.5-59-2
    分割が困難な土地等を所有している場合、相続開始前にその土地等を相続人間で分割がしやすい資産にしておくことは、遺産分割対策として有効である。2013.9-58-2
  3. [不適切]。相続開始前(被相続人の生前)に、相続を放棄することは認められていません。
    被相続人が、推定相続人と話し合って生前に家庭裁判所に遺留分の放棄をする旨を申立てさせることは、遺産分割対策として効果的である。2021.5-58-3
    被相続人が相続人と話し合い、被相続人の生前に相続の放棄をする旨を家庭裁判所に申述させることは、遺産分割対策として有効である。2013.9-58-4
  4. 適切。代償分割は、共同相続人のうち特定の者に相続財産の現物を取得させ、その取得した相続人が、他の相続人に対して代わりとなる自己の財産(代償財産)を交付する方法です。代償分割を予定する予定相続人は、他の相続人に渡す自己財産を確保しておくことが望まれます。
    代償分割を予定している場合、特定の財産(遺産)を取得する相続人は、他の相続人に対して代償債務を負担しなければならないため、相続開始前に代償債務の履行財源(現金その他の財産)を確保しておくことが望ましい。2017.9-59-3
したがって不適切な記述は[3]です。