事業承継対策(全18問中1問目)

No.1

非上場企業の事業承継のための自社株移転等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2024年1月試験 問59
  1. 「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受けるためには、特例承継計画を策定し、所定の期限までに都道府県知事に提出して、その確認を受ける必要がある。
  2. 「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」と相続時精算課税は、重複して適用を受けることができない。
  3. 経営者が保有している自社株式を後継者である子に譲渡した場合、当該株式の譲渡による所得に対して、申告分離課税により所得税および住民税が課される。
  4. 株式の発行会社が、経営者の親族以外の少数株主が保有する自社株式を買い取ることにより、当該会社の株式の分散を防止または抑制することができる。

正解 2

問題難易度
肢117.2%
肢240.4%
肢329.8%
肢412.6%

解説

  1. 適切。「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受けるためには、会社の後継者や承継までの経営見通しなどを記載した特例承継計画を所定の期限までに都道府県知事に提出し、経営承継円滑化法に基づく都道府県知事の認定を受ける必要があります。
  2. [不適切]。「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」には一般措置と特例措置がありますが、どちらでも相続時精算課税制度を併用することが可能です。また、特例措置においては、贈与者の子や孫以外の者への贈与であっても相続時精算課税制度を適用できることになっています。
    「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受ける場合、相続時精算課税制度の適用を受けることはできない。2020.9-60-3
    「非上場株式等についての贈与税の納税猶予及び免除の特例」の適用を受ける場合、相続時精算課税制度の適用を受けることはできない。2019.5-60-1
  3. 適切。個人間で非上場株式の譲渡があった場合、その譲渡所得は20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)の申告分離課税です。経営者である親と後継者である子という間柄であっても、譲渡所得に関する課税関係は変わりません。後継者に自社株を引き渡す際の課税負担をなくし、スムーズに事業承継ができるように事業承継税制が設けられています。
  4. 適切。非上場企業の事業承継を円滑に進めるためには、滞りなく後継者へ株式が集約されることが望ましいです。経営者の親族以外の少数株主が保有する自社株式を買い取ることは、相続等による株式の分散を防ぎ、中小企業の特徴である迅速かつ安定した経営の継続につながります。
したがって不適切な記述は[2]です。