事業承継対策(全18問中2問目)

No.2

中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律における「遺留分に関する民法の特例」(以下「本特例」という)に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年5月試験 問59
  1. 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、その価額を、遺留分を算定するための財産の価額に算入しないことができる。
  2. 本特例の適用を受けることによって、後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式の全部または一部について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、本特例の適用に係る合意をした時点の価額とすることができる。
  3. 本特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認および家庭裁判所の許可を受ける必要がある。
  4. 後継者が贈与により取得した自社株式が金融商品取引所に上場されている場合であっても、本特例の適用を受けることができる。

正解 4

問題難易度
肢18.5%
肢214.9%
肢341.0%
肢435.6%

解説

  1. 適切。後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式を、遺留分の算定基礎となる財産の価額に算入しないようにすることができます。これを「除外合意」といいます。除外合意をすることで、相続紛争のリスクを抑えつつ、後継者に対して集中的に株式を承継させることができます。
    除外合意とは、後継者が旧代表者からの贈与等により取得した所定の株式等について、その価額を遺留分を算定するための基礎財産の価額に算入しない旨の合意をいう。2017.1-60-3
    除外合意は、後継者が旧代表者からの贈与等により取得した株式等について、遺留分を算定するための財産の価額に算入しない旨の合意である。2015.10-59-3
  2. 適切。後継者が旧代表者から贈与により取得した自社株式について、遺留分の算定基礎となる財産の価額に算入する価額を、合意をした時点の価額に固定することができます。これを「固定合意」といいます。固定合意をすることで、もし贈与後に後継者の経営努力により株式価値が増加しても、相続時に想定外の遺留分の主張を受けることがなくなります。
    固定合意とは、後継者が旧代表者からの贈与等により取得した所定の株式等について、遺留分を算定するための基礎財産の価額に算入すべき価額を取得時点における価額とする旨の合意をいう。2017.1-60-4
    固定合意は、後継者が旧代表者からの贈与等により取得した株式等について、遺留分を算定するための財産の価額に算入すべき価額を、当該取得時点における価額とする旨の合意である。2015.10-59-4
  3. 適切。本特例は、推定相続人と後継者全員の書面による合意を得たうえで、後継者が経済産業大臣の確認を受け、確認後1カ月以内に家庭裁判所の許可を受けることで効力を生じます。
    本特例の適用を受けるためには、合意について経済産業大臣の確認を受けた日から一定期間内にした申立てにより、家庭裁判所の許可を得ることが必要である。2017.1-60-2
    本特例の適用を受けるためには、経済産業大臣の確認を受け、その後一定期間内に家庭裁判所の許可を得ることが必要である。2015.10-59-2
  4. [不適切]。本特例は、非上場企業である中小企業者が、合意時点において3年以上継続して事業を行っている場合に適用を受けることができます。上場企業は対象外です。
したがって不適切な記述は[4]です。