事業承継対策 (全11問中2問目)

No.2

非上場企業の事業承継における一般的な課題や対応策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
出典:2017年1月試験 問59
  1. 事業承継を円滑に進めるためには、適切な後継者を決定し、将来の経営者としての十分な育成を図ることが望ましい。
  2. オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者にとってその取得資金の負担が大きいときには、あらかじめ後継者の役員報酬を増加させるなどの対策を講じることが考えられる。
  3. 自社株の評価額を引き下げるためには、積極的な費用計上を行って利益を圧縮することや、新規取引先に対する金銭債権のうち回収可能性があるものについても債権放棄により貸倒損失を計上することなどが望ましい。
  4. オーナー経営者が土地などの多額の個人資産を自らが経営する法人の事業の用に供している場合、オーナー経営者が死亡し、その子が後継者となり事業関連資産を相続するとき、後継者以外の推定相続人の遺留分の侵害の問題が生じるおそれがある。

正解 3

解説

  1. 適切。事業承継を円滑に進めるためには、経営者の生存中に後継者を決定し、将来の経営者として計画的に育成を図ることが望まれます。
  2. 適切。オーナー経営者が保有している自社株式を役員である後継者に取得させる場合、後継者がその株式の購入費用または取得に係る贈与税額を負担することになります。買取り時の資金負担を軽減させるために、後継者の役員報酬を増加させておくことは有効な対策です。
  3. [不適切]。記述中の「回収可能性があるものについても」の部分が不適切です。
    非上場企業において自社株の評価額は、類似業種比準価額方式と純資産価額方式によって決定されます。自社株の評価額を引き下げるためには、①配当金を引き下げる、②利益を引き下げる、③純資産を引き下げるなどの方法がありますが、債権放棄が有効な策となるのは「回収可能性がないもの」について貸倒損失を計上することです。よって記述は不適切です。
  4. 適切。オーナー経営者が個人資産を自らが経営する法人の事業のために提供している場合に、オーナー経営者が死亡すると、その個人資産は相続財産の一部として扱われます。このため個人資産の額によっては単純に後継者が全てを承継した際に、後継者以外の推定相続人の遺留分を侵害するおそれがあります。
したがって不適切な記述は[3]です。