事業承継対策(全18問中3問目)

No.3

非上場企業における役員(死亡)退職金を活用した相続税の納税資金対策および事業承継対策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2022年9月試験 問59
  1. 死亡退職金の原資の準備として、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を法人、被保険者を経営者とする生命保険に加入することが考えられる。
  2. 経営者の死亡直後に遺族が支給を受けた死亡退職金は、相続税の納税資金に充てることができる。
  3. 経営者が死亡した場合に遺族が支給を受けた死亡退職金で、相続税額の計算上、退職手当金等の非課税限度額の適用対象となるものは、その死亡後5年以内に支給額が確定したものである。
  4. 経営者が死亡した場合の遺族への死亡退職金の支給は、相続税額の計算上、純資産価額方式による自社株式の評価額を引き下げる効果が期待できる。

正解 3

問題難易度
肢17.9%
肢28.5%
肢361.2%
肢422.4%

解説

  1. 適切。期平準定期保険や逓増定期保険などの生命保険は、保険期間の途中までは貯蓄性が高く、経営者向けの保険として活用されています。
    経営者への役員退職金の原資の準備として、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を法人、被保険者を経営者とする終身保険などの生命保険に加入することが考えられる。2020.9-60-1
    オーナー経営者への役員退職金の支払い原資の準備として、契約者(=保険料負担者)および死亡保険金受取人を法人、被保険者をオーナー経営者とする長期平準定期保険や逓増定期保険などの生命保険に加入することが考えられる。2017.9-60-2
  2. 適切。相続税は原則として一括で現金で納付しなければなりません。そのため、遺族が支給を受けた死亡退職金を、相続税の納税資金に充てることは有効な手段です。
  3. [不適切]。本肢は「死亡後5年以内」の部分が不適切です。
    死亡退職金のうち「500万円×法定相続人の数」を限度として非課税となるのは、死亡後3年以内に支給が確定したものです。
  4. 適切。死亡退職金を支給すると会社の純資産の額が減少するので、自社株式の評価額を引き下げる効果が期待できます。相続税は現金一括納付が原則なので、相続時における納税資金の確保にもなります。
したがって不適切な記述は[3]です。