FP2級過去問題 2021年5月学科試験 問11

問11

生命保険契約や保険約款に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 生命保険会社は、保険契約者等の保護の観点から、普通保険約款の所定の事項を変更する場合、内閣総理大臣の認可を受けなければならない。
  2. 生命保険契約は、保険契約者と生命保険会社との合意により契約が成立する諾成契約である。
  3. 生命保険契約の締結に際し、保険契約者または被保険者になる者は、生命保険会社から告知を求められた事項以外に保険事故の発生の可能性に関する重要な事項があれば、その者が自発的に判断して事実の告知をしなければならない。
  4. 保険金の支払時期に関して、保険法の規定よりも保険金受取人にとって不利な内容である保険約款の定めは無効となる。

正解 3

問題難易度
肢117.9%
肢26.7%
肢365.5%
肢49.9%

解説

  1. 適切。保険会社は、多数の保険契約者が公平な条件で契約できるように、また契約の手間を省くため、保険種類ごとに契約内容を一定にした普通保険約款を作成します。普通保険約款には保険料や責任の開始する日、告知義務などが記されています。保険契約者に不利な契約が締結されるのを防ぐために、約款の作成・変更の際には内閣総理大臣の認可が必要です。
  2. 適切。諾成(だくせい)契約とは、契約の当事者の意思表示が合致するだけで成立する契約です。保険契約は、契約者が保険契約を申し込み、保険会社がそれを受諾することで効力が生ずる諾成契約です。そのため、法律上は口約束だけでも契約が成立するのですが、契約を確実にし、記録として残すために書面で契約することが一般的です。なお、責任開始日は「申込み」「告知または診査」「第1回保険料の支払い」のすべてが完了した日となります。
    生命保険契約は、保険契約者と保険会社との合意により契約が成立する諾成契約である。2017.9-11-1
  3. [不適切]。生命保険契約の締結に際し、保険契約者または被保険者になる者は、生命保険会社から質問されたことに答えれば足ります(質問応答義務)。自発的に保険事故の可能性に関する事項の事実を告知する義務(自発的申告義務)はありません。
    生命保険契約の締結に際し、保険契約者または被保険者になる者は、保険会社から告知を求められた事項以外の保険事故の発生の可能性に関する重要な事項について、自発的に判断して事実の告知をしなければならない。2024.1-11-4
    保険契約者または被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、保険会社から告知を求められた事項以外に保険事故の発生の可能性に関する重要な事項があれば、その者が自発的に判断して事実の告知をしなければならない。2018.1-11-2
    保険契約者または被保険者になる者は、生命保険契約の締結に際し、保険会社から告知を求められた事項以外に保険事故の発生の可能性に関する重要な事項があれば、その者が自発的に判断して事実の告知をしなければならない。2016.9-11-1
  4. 適切。保険法には法の規定よりも保険契約者や受取人に不利な内容の定めを無効にする「片面的強行規定」が数多くあります。
    保険給付に関して契約に支払時期を定めた場合であっても、その期限が適正な保険金支払いのために要する合理的な調査に関する期間を超える場合には、その必要な期間を経過するまで支払期限となります。
したがって不適切な記述は[3]です。