FPと倫理(全3問中2問目)

No.2

ファイナンシャル・プランナー(以下「FP」という)の顧客に対する行為に関する次の記述のうち、職業倫理に照らし、最も適切なものはどれか。
2024年5月試験 問1
  1. 顧客から賃貸アパートの建築について相談を受けたFPのAさんは、事業計画策定のための資料として、顧客から預かっていた確定申告書のコピーを顧客の同意を得ずに不動産業者に提供した。
  2. 顧客から生命保険の加入について相談を受けたFPのBさんは、顧客の家族構成や世帯収入を確認することなく、Bさんが得られる手数料の多い保険商品についてのみ説明し、加入を勧めた。
  3. 顧客から投資信託の購入について相談を受けたFPのCさんは、投資信託について、比較的少額から投資可能であることや運用の専門家により運用が行われることなどのメリットだけでなく、元本保証および利回り保証がないことなどの留意点についても説明した。
  4. 顧客から外貨預金による資産運用について相談を受けたFPのDさんは、この先も円安ドル高の傾向は絶対に変わらないと説明し、円建ての預金の大半をドル建ての預金に移すべきだとアドバイスした。

正解 3

問題難易度
肢14.7%
肢24.5%
肢387.2%
肢43.6%

解説

  1. 不適切。FPは、業務上知り得た顧客の情報を保護しなければならず、本人の許可なく第三者に漏らしてはなりません。別の業者に顧客の情報を提供する際には、情報提供について本人の同意を得なければなりません。本肢は、顧客の同意を得ていないため不適切です。
  2. 不適切。FPは業務に当たり、顧客の利益を最優先にしなければなりません。FPが得られる手数料の多い保険商品のみを勧めるのは、FPが自己の利益を優先する行為であり不適切です。また、生命保険募集人等が保険商品の募集をするに当たっては、顧客意向の把握し、当該意向に沿った保険プランの提案をする義務があります。したがって、家族構成等の状況を確認することなく提案をすることは意向把握義務に違反します。
  3. [適切]。投資信託を含む金融商品に関して、一般的な特徴や留意点を説明することは誰でもできます。FPに求められる顧客第一および誠実性などの立場から、顧客にとって利益となる事実だけではなく、不利益となる事実をも伝えることが大切です。
  4. 不適切。金融商品に関する個別の助言を業として行うには、投資助言・代理業の登録を受けていることが必要です。無登録であればその時点で違反となり、仮に登録をしていたとしても、為替動向のような不確実な事項について『円安ドル高の傾向は絶対に変わらない』といった断定的な判断を提供することは禁止されています。このため、いずれにしても不適切な行為です。
したがって適切な記述は[3]です。