不動産の賃貸(全2問中1問目)

No.1

不動産賃貸に係る所得税に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2023年5月試験 問49
  1. 不動産所得の金額の計算上、2024年中に取得した建物を同年中に貸し付けた場合の当該建物の減価償却費の計算においては、定額法または定率法の選択が可能である。
  2. 不動産所得の金額の計算上、当該不動産所得に係る所得税および住民税の額は必要経費に算入されない。
  3. 不動産所得に係る総収入金額を計算する場合において、契約により支払日が定められている賃貸料は、原則として、その定められた支払日が収入すべき時期となる。
  4. アパート等の貸付けが不動産所得における事業的規模であるかどうかの判定において、貸与することができる独立した室数がおおむね10以上であれば、特に反証がない限り、事業的規模として取り扱われる。

正解 1

問題難易度
肢160.0%
肢211.3%
肢36.3%
肢422.4%

解説

  1. [不適切]。減価償却の方法には定額法や定率法などがあり、納税者が減価償却資産の種類ごとに償却方法を選択することができます。ただし、1998年4月1日以後に取得した建物、2016年4月1日以後に取得した建物付属設備および構築物の減価償却方法は定額法に限られます。
  2. 適切。不動産所得の金額を計算するにあたり、必要経費として算入できるのは、賃貸収入を得るために要した直接的な費用だけです。所得税や住民税は所得に対して課される税で、賃貸収入とは関係がないため必要経費に算入できません。なお、必要経費に算入できる税金としては、固定資産税や不動産取得税などがあります。
  3. 適切。不動産所得の総収入金額を計上する時期は、次のように定められています。
    1. 支払日が定められている場合は、その定められた支払日
    2. 支払日が定められていない場合は、支払いを受けた日
    3. 請求があった日に支払うことになっている場合は、請求した日
    したがって、支払日が定められている場合は、たとえ家賃等が未払いであっても、支払日時点で収入金額に計上しなければなりません。
  4. 適切。所得税法の区分では、貸付け可能な不動産が、アパート・貸間であれば10室以上、独立家屋であればおおむね5棟以上であれば事業的規模の貸付けとして取り扱われます(5棟10室基準)。事業的規模と判定されると、青色申告の控除額がアップしたり、事業専従者の給与を経費化できるなどのメリットがあります。
したがって不適切な記述は[1]です。