不動産に関する法令上の規制(全91問中71問目)

No.71

建築基準法に基づいて下記の土地に耐火建築物である住宅を建築する場合の建築面積の限度として、正しいものはどれか。なお、前面道路は、同法第42条第2項により特定行政庁の指定を受けた道路であり、その中心線からの水平距離2mの線が道路の境界線とみなされるものとする。また、記載のない条件については考慮しないものとする。
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2015年5月試験 問46
  1. 100㎡
  2. 104㎡
  3. 120㎡
  4. 124.8㎡

正解 3

問題難易度
肢125.4%
肢216.5%
肢349.2%
肢48.9%

解説

この問では建築面積の計算において注意すべき点が2つあります。

まず1つ目は前面道路の幅です。建築基準法では、道路の幅員について4m以上と定めており、4m以上の道路に面していない建物は建築できないとしています。しかし、昔に整備された道路の中には4m未満のものも数多く存在しており、これらを"道路"ではないとしてしまうと生活に支障が及びます。このため、建築基準法42条2項ではこれらの道を「みなし道路」として扱うとしています(法42条2項で規定されているため2項道路と呼ばれます。)。
2項道路については、道路中心線から2m(4mの半分)離れたところを敷地と道路の境界と定め、将来2項道路に面する土地に再建築する際には、その境界線まで敷地を後退させる義務を課しています。この道路幅に伴う敷地の強制後退をセットバックといいます。
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設問の前面道路は3mですから、セットバックが適用されることにより、対象地の道路側50cmについては道路としてみなされ所有者の土地として計算に含めることができません。つまり建ぺい率に乗じる対象地の面積は、

 16m×(13m-0.5m)=200㎡

となります。

2つ目は、耐火建築物に対する建ぺい率の緩和です。この規定では、「防火地域内の耐火建築物」および「準防火地域内の(準)耐火建築物」を対象として建ぺい率に10%を加えることができるものです。
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対象地は準防火地域、建物は耐火建築物ですので、上記の適用対象となるので建ぺい率が10%緩和されます。

以上より、対象地における建築面積の限度は、

 200㎡×(50%+10%)=120

したがって[3]が適切です。
令和元年(2019年)6月の改正建築基準法の施行により、準防火地域における耐火建築物等・準耐火建築物についても建ぺい率の10%緩和が受けられるようになりました。それ以前は、防火地域内の耐火建築物にだけ建ぺい率の緩和が適用されていました。