FP2級過去問題 2023年5月学科試験 問60

問60

民法における配偶者居住権に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 配偶者居住権の存続期間は、原則として、被相続人の配偶者の終身の間である。
  2. 被相続人の配偶者は、取得した配偶者居住権を譲渡することができる。
  3. 被相続人の配偶者は、居住建物を被相続人と被相続人の子が相続開始時において共有していた場合であっても、当該建物に係る配偶者居住権を取得することができる。
  4. 被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始時において居住していなかった場合であっても、当該建物に係る配偶者居住権を取得することができる。

正解 1

問題難易度
肢150.7%
肢28.4%
肢322.0%
肢418.9%

解説

  1. [適切]。配偶者居住権の存続期間は、遺言や遺産分割協議にて別段の定めのある場合を除き、終身とされています。
  2. 不適切。配偶者居住権は、第三者に譲渡することはできません。被相続人と同居していた配偶者に関して認められる一身専属的な権利であるためです。
  3. 不適切。居住建物に被相続人以外の共有者が存在する場合には、配偶者居住権は成立しません。第三者である共有者に、終身にわたる無償の使用収益を受忍する負担を負わせるのは酷であるためです。
    被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していなかった場合であっても、当該建物について配偶者居住権を取得することができる。2024.9-56-1
    被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始時において居住していなかった場合であっても、当該建物に係る配偶者居住権を取得することができる。2023.5-60-4
  4. 不適切。配偶者居住権は、配偶者が相続開始時に被相続人の所有する建物に居住していた場合に限り成立します。配偶者居住権の目的は、被相続人と同居していた配偶者がそのまま自宅に住む権利を保護することであり、別居していた場合には保護に値しないためです。
    被相続人の配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に居住していなかった場合であっても、当該建物について配偶者居住権を取得することができる。2024.9-56-1
    被相続人の配偶者は、居住建物を被相続人と被相続人の子が相続開始時において共有していた場合であっても、当該建物に係る配偶者居住権を取得することができる。2023.5-60-3
したがって適切な記述は[1]です。