FP2級過去問題 2023年9月学科試験 問60
問60
株式譲渡によるM&A等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、本問において、株式会社は非上場会社であるものとする。- M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、原則として、当該株式の譲渡による所得に対して、申告分離課税により所得税および住民税が課される。
- M&Aにより、株式会社の取締役が保有する当該株式会社の株式を買収会社に譲渡した場合、譲渡所得の金額の計算上、その収入金額は、原則として、取引当事者間の契約により決定された譲渡金額である。
- 株式会社は、あらかじめ定款に定めておくことにより、相続により当該株式会社の株式(譲渡制限株式)を取得した者に対して、当該株式を当該株式会社に売り渡すことを請求することができる。
- 株式譲渡制限会社である株式会社においては、株主でなければ取締役に就任することはできない。
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正解 4
問題難易度
肢112.2%
肢212.4%
肢312.9%
肢462.5%
肢212.4%
肢312.9%
肢462.5%
分野
科目:F.相続・事業承継細目:10.事業と経営
解説
- 適切。非上場会社の株式の譲渡なので、上場株式等以外の株式(一般株式)の譲渡になります。FP試験では上場株式の譲渡ばかりが論点となりますが、一般株式の譲渡所得も上場株式等と同じく合計20.315%(所得税15%・復興特別所得税0.315%・住民税5%)の申告分離課税です。
- 適切。株式の譲渡所得の金額は「総収入金額(譲渡価額)-必要経費(取得費+委託手数料等)」で求めます。M&Aに伴う譲渡では、当事者同士で約定した譲渡価格が総収入金額となります。もっとも、時価の2分の1未満で譲渡したときは、個人から法人に対する低額譲渡の規定が働くので時価が譲渡収入となります。
- 適切。譲渡制限株式とは、株式の譲渡による取得について会社の承認を要することを定款で定めている株式です。株式は譲渡が自由できるのが原則ですが、好ましくない者が株主となることを避けたい場合もあるので、このような制限をすることも認められています。
しかし、相続や合併等の一般承継による株式の取得には譲渡制限の効果は及ばないため、好ましくない者に株式が取得される可能性があります。そこで、会社は定款で定めておくことにより、相続その他の一般承継により譲渡制限株式を取得した者に対し、その株式を会社に売り渡すよう請求できることになっています。これを「一般承継人に対する受渡し請求」といいます。 - [不適切]。株式譲渡制限会社とは、株式の全部に譲渡制限をしている会社で、一般的には非公開会社と呼ばれます。定款に特段の定めがなければ、株主でない者が非公開会社の取締役になることもできます。
【参考】会社は定款で取締役となる者の資格を定めることができます。ただし、公開会社では取締役を株主に限定する定めをすることはできないことになっています。逆を言えば、非公開会社では取締役を株主に限るという定めをすることができるので、その場合には株主以外は取締役にはなれません。
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