FP2級 2024年5月 実技(FP協会:資産設計)問22

問22

下記の相続事例(2023年12月10日相続開始)における各人の相続税の課税価格の組み合わせとして、正しいものはどれか。なお、記載のない事項については一切考慮しないものとする。
<課税価格の合計額を算出するための財産等の相続税評価額>
土地:3,000万円(小規模宅地等の特例適用後)
建物:500万円
現預金:800万円
死亡保険金:1,800万円(生命保険金等の非課税限度額控除前)
債務および葬式費用:200万円

<親族関係図>
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  • 土地の評価額は、小規模宅地等の特例適用後の金額であり、死亡保険金は、非課税限度額控除前の金額である。
  • 土地および建物は配偶者が相続する。
  • 現預金は、配偶者と長男が2分の1ずつ受け取っている。
  • 死亡保険金は、配偶者、長男および長女がそれぞれ3分の1ずつ受け取っている。
  • 相続開始前に被相続人からの贈与により財産を取得した相続人はおらず、相続時精算課税制度を選択した相続人もいない。また、長女は相続を放棄している。
  • 債務および葬式費用は、被相続人の配偶者と長男がそれぞれ2分の1ずつ負担している。
  1. 配偶者:3,800万円 長男:300万円 長女:600万円
  2. 配偶者:3,900万円 長男:400万円 長女:100万円
  3. 配偶者:3,900万円 長男:400万円 長女:600万円
  4. 配偶者:4,000万円 長男:500万円 長女:600万円

正解 1

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:4.相続と税金

解説

相続税の課税価格は、本来の相続財産や生命保険金等のみなし相続財産などの合計から債務や葬式費用などを差し引いた金額です。
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死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」を限度に非課税となります。本問では法定相続人の数が3人なので非課税限度額は「500万円×3人=1,500万円」です。相続放棄した者は、死亡保険金の非課税の規定は適用を受けられず、放棄した者が受け取った死亡保険金はなかったものとして計算するので、配偶者・長男が受け取った死亡保険金のうち各人の相続税の課税価格に算入するべき額は、以下のように求めます。
  • 受け取った死亡保険金 1,800万円×1/3=600万円
  • 非課税限度額 1,500万円×600万円1,200万円=750万円
  • 相続税の課税価格 600万円-750万円=▲150万円 ⇒ 0円
法定相続人ごとに相続財産と負担する債務を整理します。

【配偶者】
土地 3,000万円
建物 500万円
現預金 800万円×1/2=400万円
死亡保険金 0円
債務・葬式費用 200万円×1/2=100万円

合計で、3,000万円+500万円+400万円-100万円=3,800万円

【長男】
現預金 800万円×1/2=400万円
死亡保険金 0円
債務・葬式費用 200万円×1/2=100万円

合計で、400万円-100万円=300万円

【長女】
死亡保険金 1,800万円×1/3=600万円
※相続放棄した者は、死亡保険金の非課税の規定は適用を受けられません。

したがって[1]の組合せが適切です。