ライフプランニングの考え方・手法(全33問中7問目)

No.7

ライフプランニングにおけるライフステージ別の一般的な資金の活用等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
2021年5月試験 問2
  1. Aさん(25歳)は、子の教育資金を準備するため、金融機関のカードローンで資金を借り入れ、高リスクだが、高い収益が見込める金融商品を購入して積極的な運用を図ることとした。
  2. Bさん(40歳)は、老後の生活資金を充実させるために、確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)を利用して余裕資金を運用することとした。
  3. Cさん(60歳)は、退職金と預貯金のうち、今後の生活資金を確保した残りの余裕資金から、子が住宅を取得するための頭金として、税務上非課税となる範囲で現金を贈与することとした。
  4. Dさん(70歳)は、相続対策として、相続人がもめないように、遺言執行者として弁護士を指定した自筆証書遺言を作成し、法務局(遺言書保管所)に保管の申請をすることとした。

正解 1

問題難易度
肢191.6%
肢22.0%
肢32.1%
肢44.3%

解説

  1. [不適切]。投資は余裕資金の範囲で行うのが原則です。
    教育資金は子のいる家庭において将来必要となる多額の資金なので、20歳代における子の教育資金の準備に大切なのは堅実な資金計画を作ることです。ローンの資金を元手にハイリスク・ハイリターンの金融商品で運用を図ることは、将来の教育資金を確実に準備するための適切な方法とは言えません。また、カードローンは利率が高く、その利息を上回るリターンを投資で得るのは至難の業です。
  2. 適切。40歳になると、老後の生活資金に備えて余裕基金で準備を始めることも必要になってきます。確定拠出年金の個人型年金(iDeCo)は60歳以降にしか引き出すことができないので、老後資金として計画的に準備を進めることができます。また、拠出した掛金は全額が所得控除の対象となるため、iDeCoを利用することで大きな節税効果も期待できます。老齢給付金は退職所得または公的年金等に係る雑所得となるので受取時も有利です。
  3. 適切。老後の生活資金を確保したうえで余裕資金を子へ贈与することは相続税対策として有効です。子も援助を受けることで住宅を取得しやすくなります。
    贈与税の暦年課税の基礎控除額の範囲(年間110万円)で毎年贈与を行ったり、住宅取得等資金の一括贈与の特例を利用したりすれば、一定金額までは贈与税が非課税になります。
  4. 適切。自筆証書遺言を作成し故人の遺志を親族へ伝えることで、相続人がもめないような対策をすることができます。さらに、遺言書により遺言執行者を指定することで、遺言書の内容を確実に実行してもらうことが可能となります。2020年7月1日以降は、自筆証書遺言を法務局で保管する制度も開始され遺言書紛失の防止や遺言書の存在の把握が容易となり、自筆証書遺言を作成することは相続対策としてより有効となっています。
したがって不適切な記述は[1]です。