関連法規(全22問中15問目)

No.15

金融商品取引法に規定されている行為規制(販売・勧誘ルール)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
2016年1月試験 問30
  1. 金融商品取引業者等が、顧客に対して「償還時には必ず円安になる」と告げて外貨建て商品の勧誘を行った場合、結果として償還時に円安となり、当該顧客が利益を得ることになれば、金融商品取引法上の断定的判断の提供に該当しない。
  2. 顧客から損失補てんを申し込まれ、それに従って損失補てんが行われた場合、損失補てんを行った金融商品取引業者等には刑事罰が科され得るが、当該顧客には刑事罰が科されることはない。
  3. 金融商品取引業者等が法人顧客に対して金融商品の販売等を行う場合には、当該顧客が特定投資家か否かにかかわらず、適合性の原則は適用されない。
  4. 金融商品取引業者等が、顧客(特定投資家を除く)と金融商品取引契約を締結しようとする場合、当該顧客が「十分な投資経験があるので、書面の交付は不要である」旨を申し出たときであっても、その申出をもって、契約締結前交付書面の交付義務は免除されない。

正解 4

問題難易度
肢12.6%
肢27.6%
肢310.3%
肢479.5%

解説

  1. 不適切。金融商品取引法では、本肢のような断定的判断の提供は禁じられています。結果的に予想通りの利益を得た場合でも、違法であることに変わりはありません。
  2. 不適切。金融商品取引法では、金融商品取引業者が顧客に与えた損失を補てんすることは禁じられています。また同様に、顧客が金融商品取引業者に損失補てんさせることも禁じられています。なお、期待した利益が得られなかった場合の利益の追加も禁じられており、これらの行為については、個人・法人問わず、実行する前の申し込みや約束も禁じられています。
  3. 不適切。適合性の原則は、金融商品取引業者等が顧客と金融商品取引行為をする際に、顧客の知識、経験、財産の状況、金融商品購入の目的に照らして不適当な勧誘をしてはならない、という行為規制に関するルールです。この原則は個人・法人問わず、顧客が「一般投資家」の場合にだけ適用され「特定投資家」に対しては適用されません。このため、法人顧客が一般投資家であれば適合性の原則が適用されることになります。
  4. [適切]。金融商品取引業者等が、一般投資家である顧客と契約を締結しようとする場合、当該顧客が「十分な投資経験があるので、書面の交付は不要である」旨を申し出た場合であっても、契約締結前書面の交付は義務付けられています。なお、金融サービス提供法により、重要事項の説明については顧客が不要と申し出た場合には行わなくてもよいとされています。
したがって適切な記述は[4]です。