FP2級 2017年1月 実技(FP協会:資産設計)問21

問21

下記の相続事例(2023年12月20日相続開始)における相続税の課税価格の合計額として、正しいものはどれか。
<課税価格の合計額を算出するための財産等の相続税評価額>
土地:5,000万円(小規模宅地等の評価減特例適用後:1,000万円)
建物:1,000万円
現預金:3,000万円
死亡保険金:1,200万円(生命保険金等の非課税限度額控除前)
債務および葬式費用:400万円

<相続人関係図>
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  • 小規模宅地等の評価減特例の適用対象となる要件はすべて満たしており、その適用を受けるものとする。
  • 死亡保険金は、すべて被相続人の妻が受け取っている。
  • すべての相続人は、相続により財産を取得している。
  • 債務および葬式費用は被相続人の妻がすべて負担している。
  • 相続開始前3年以内に被相続人からの贈与により財産を取得した相続人はおらず、相続時精算課税制度を選択した相続人もいない。また、相続を放棄した者もいない。
  1. 4,600万円
  2. 5,800万円
  3. 8,600万円
  4. 9,800万円

正解 1

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:4.相続と税金

解説

相続税の課税価格の合計額は、各人が相続・遺贈により取得した財産に"みなし相続財産"、"相続時精算課税の適用を受けた財産"及び"3年内贈与加算の額"を加え、非課税財産と債務・葬式費用を控除した額を合計して求めます。ここでは"遺産に係る基礎控除額"を控除しないことに注意しましょう。相続税の課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を差し引いた額は「課税遺産総額」といいます。
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相続人が取得した財産(みなし相続財産含む)は、以下の4つです。
  • 土地 1,000万円
  • 建物 1,000万円
  • 現預金 3,000万円
  • 死亡保険金 1,200万円
  • 合計 6,200万円
このうち、死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」を限度として非課税となります。<相続人関係図>を見ると法定相続人は「配偶者」「長女」「孫B」の3人ですので、非課税限度額は「500万円×3人=1,500万円」です。本問では「死亡保険金額<非課税限度額」なので、死亡保険金額である1,200万円全額が非課税となります。また、債務・葬式費用の400万円を債務控除として相続税の課税価格から控除します。

以上より、相続税の課税価格の合計額は、

 6,200万円-1,200万円-400万円=4,600万円

したがって正解は[1]です。