FP2級 2017年5月 実技(金財:生保)問1

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問1

はじめに、Mさんは、Aさんに対して、Aさんが受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した。Mさんが説明した以下の文章の空欄①~③に入る最も適切な数値を、解答用紙に記入しなさい。なお、年金額は2016年度価額に基づいて計算し、年金額の端数処理は円未満を四捨五入すること。

 「老齢厚生年金の支給開始年齢は原則として65歳ですが、経過的措置として、老齢基礎年金の受給資格期間を満たし、かつ、厚生年金保険の被保険者期間が1年以上あることなどの所定の要件を満たしている方は、65歳到達前に特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。1960年(昭和35年)1月生まれのAさんは、原則として、64歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受け取ることができます。
 Aさんが65歳に達すると、特別支給の老齢厚生年金の受給権は消滅し、新たに老齢基礎年金および老齢厚生年金の受給権が発生します。Aさんが65歳から受給することができる老齢基礎年金の額は()円(2016年度価額)です。
 また、65歳から支給される老齢厚生年金には、Aさんの厚生年金保険の被保険者期間が()年以上あり、かつ、Aさんと生計維持関係にある妻Bさんが厚生年金保険の被保険者期間が()年以上ある老齢厚生年金等を受給していないため、妻Bさんが65歳に達するまでの間、配偶者の加給年金額が加算されます。したがって、Aさんが65歳から受給することができる老齢厚生年金の額は()円となります」
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正解 

① 736,219(円)
② 20(年)
③ 926,812(円)

分野

科目:A.ライフプランニングと資金計画
細目:5.公的年金

解説

〔①について〕
<資料>の老齢基礎年金の計算式を使います。原則として、20歳から60歳になるまでの40年間(480月)の全期間保険料を納めれば、65歳から満額の老齢基礎年金を受給できることになります。

Aさんは20~22歳の時に27月の未加入期間がありますが、免除の申請も後納もしていないため、保険料納付済月数への算入はありません。その後、60歳まで厚生年金被保険者および第1号被保険者となっているので、全期間(480月)から未加入期間27月を減じた「480月-27月=453月」がAさんの保険料納付済月数となります。

 780,100円×453月480月=736,219.375円
(円未満四捨五入して)736,219円

よって、正解は736,219(円)になります。

〔②について〕
加給年金は、厚生年金の被保険者期間が原則20年以上ある者が65歳に達したときに、生計を維持している65歳未満の配偶者や一定の子がいる場合に支給されます。なお設問の記述にあるように、65歳未満であってもその配偶者が厚生年金保険の被保険者期間が20年以上の老齢厚生年金等を受給している時は加給年金額は加算されません。
よって、正解は20(年)になります。

〔③について〕
<資料>老齢厚生年金の計算式を使い、報酬比例部分、経過的加算額、加給年金額の順で求めていきます。

【報酬比例部分の額】
[ⓐ2003年3月以前の期間分]
 300,000円×7.1251,000×251月=536,512.5円
[ⓑ2003年4月以後の期間分]
 該当なし
[ⓐ+ⓑ]
 536,512.5円+0円=536,512.5円
(円未満四捨五入して)536,513円

【経過的加算額】
被保険者期間の月数は251月、20歳以上60歳未満の被保険者期間の月数も251月なので、計算式に当てはめると、

 1,625円×251月-780,100円×251月480月
=408,126円-407,927.29円=198.71円
(円未満四捨五入して)199円

【加給年金額】
加給年金額は、厚生年金保険の被保険者期間が20年(240月)以上ある人が、65歳到達時において生計を維持している下記の配偶者または子がいる場合に、老齢厚生年金に一定額が加算される制度です。
  • 65歳未満の配偶者
  • 18歳到達年度の末日までの間の子
    または1級・2級の障害の状態にある20歳未満の子
Aさんの被保険者期間は20年以上であり、妻BさんはAさんよりも年下なので加給年金額390,100円が加算されます。

すべてを合計すると、

 536,513円+199円+390,100円=926,812円

よって、正解は926,812(円)になります。