FP2級過去問題 2017年9月学科試験 問55

問55

次のうち、相続税の課税対象とならないものはどれか。
  1. 相続の放棄をした者が、契約者(=保険料負担者)および被保険者を被相続人とする生命保険契約に基づいて受け取った死亡保険金
  2. 相続または遺贈により財産(みなし相続財産を含む)を取得しなかった者が、その相続開始前3年以内に被相続人から暦年課税による贈与により取得した財産
  3. 被相続人に対する給与のうち、相続開始時において支給期の到来していないもので、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの
  4. 被相続人から贈与により取得した財産で相続時精算課税制度の適用を受けているもの

正解 2

問題難易度
肢122.2%
肢238.0%
肢316.8%
肢423.0%

解説

  1. 不適切。民法上、死亡保険金は受取人の固有財産であり相続財産ではありません。相続を放棄した者も死亡保険金を受け取ることができますが、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。ただし、相続を放棄した者が受け取る死亡保険金には、相続税の非課税限度額が適用されないので全額が相続税の課税対象になります。
  2. [適切]。遺贈や相続で被相続人から財産を取得した人が、その被相続人から死亡前3年内に贈与を受けた場合、その財産の贈与時の価額を相続税の課税価格に含めて相続税を計算します。この制度を「3年内贈与加算」といいます(贈与税の基礎控除額以下の贈与財産も加算します)。
    相続・遺贈で財産を取得していない場合には、被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けていても、相続税の課税対象にはなりません。よって記述は正解です。
  3. 不適切。相続開始時(死亡時)に支給が決定していなくても、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したもの(例えば死亡退職金や弔慰金)は、相続財産として相続税の対象になります。なお、3年を超えてから支給が決定したものについては遺族の一時所得となり、所得税が課されます。
  4. 不適切。相続時精算課税制度の適用を受け、被相続人から生前に贈与を受けていた場合、相続時に相続財産を取得したかどうかにかかわらず、贈与された財産は、贈与時の価額で相続税の課税対象になります。
したがって適切な記述は[2]です。