FP2級 2019年9月 実技(FP協会:資産設計)問22(改題)

問22

成田さん(40歳)は、父(66歳)と祖父(90歳)から下記<資料>の贈与を受けた。成田さんの2024年分の贈与税額として、正しいものはどれか。なお、父からの贈与については、2023年から相続時精算課税制度の適用を受けている。

<資料>
[2023年中の贈与]
 父から贈与を受けた金銭の額:1,800万円
[2024年中の贈与]
 父から贈与を受けた金銭の額:1,000万円
 祖父から贈与を受けた金銭の額:490万円
  • 2023年および2024年中に、上記以外の贈与はないものとする。
  • 上記の贈与は、住宅取得等資金や結婚・子育てに係る資金の贈与ではない。
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  1. 47万円
  2. 51万円
  3. 85万円
  4. 89万円

正解 3

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:2.贈与と税金

解説

【父からの贈与】
成田さんは、父からの贈与について2023年から相続時精算課税制度の適用を受けています。

相続時精算課税制度の適用を受けると、特定贈与者ごとに、基礎控除額を控除した後の残額の累計で2,500万円までの贈与について贈与税が非課税となります。2,500万円を超えた部分は、一律20%の税率で贈与税が課されます。2024年分より相続時精算課税制度にも、暦年課税の基礎控除とは別に、特定贈与者ごとに年間110万円の基礎控除が創設されました。2024年分以降の贈与は基礎控除額を考慮して計算する必要があります。

2023年に1,800万円の贈与を受けているので、残りの非課税枠は「2,500万円-1,800万円=700万円」です。2024年以降の贈与について基礎控除額を考慮すると、2024年に贈与された1,000万円から基礎控除額と残りの非課税枠を差し引いた「1,000万円-110万円-700万円=190万円」が課税対象となります。したがって、190万円に20%を乗じて贈与税額を算出します。

 190万円×20%=38万円

【祖父からの贈与】
暦年課税なので110万円の基礎控除を差し引き、税率を掛けて贈与税を求めます。受贈者が18歳以上、かつ、祖父は直系尊属に該当するため(イ)の速算表(特例贈与)を使用して、贈与税額を算出します。

 490万円-110万円=380万円
 380万円×15%-10万円=47万円

したがって、成田さんの2024年分の贈与税額は、

 38万円+47万円=85万円

以上より[3]が正解です。

【参考】相続時精算課税制度は、法改正によりやや複雑化し、これまでのように単純に2,500万円引くだけではなくなってしまいました。当サイトでは出題当時の設定で年号だけを新しくした問題を、現行法令に当てはめた解答・解説としていますが、今後は出題形式が変わってくる可能性があります。