FP2級過去問題 2021年1月学科試験 問36

問36

次のうち、青色申告者のみが適用を受けることができる所得税の青色申告の特典として、最も不適切なものはどれか。
  1. 納税者と生計を一にする親族(15歳未満である者を除く)でもっぱらその納税者の営む事業に従事する者に対して支払った所定の給与の全額必要経費算入
  2. 純損失の繰戻還付
  3. 雑損失の繰越控除
  4. 棚卸資産の低価法による評価の選択

正解 3

問題難易度
肢115.9%
肢220.8%
肢344.7%
肢418.6%

解説

  1. 適切。青色申告の承認を受けた上で「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出し、その他条件を満たした場合、青色事業専従者に現実に支給した給与の全額を必要経費に算入することができます。
    なお、白色申告者が支払う白色専従者給与では、次の2つのうち少ない金額が上限となります。
    1. 事業主の配偶者:86万円、左記以外:1人当たり50万円
    2. 専従者給与控除前の事業所得の金額を専従者の数+1で割った金額
  2. 適切。純損失の繰戻還付は、純損失を前年の所得から控除して前年に支払った税金の還付を受けることができるもので、青色申告の特典の1つです。
  3. [不適切]。青色申告者の特典は「損失の繰越控除」です。
    雑損失の繰越控除は、所得控除の1つである雑損控除の控除額がその年の所得から控除しきれなかった場合に、翌年以後最長3年の繰越控除が認められる制度で、青色申告の有無にかかわらず誰でも適用を受けられます。
  4. 適切。白色申告者(青色申告でない者)の場合は、原則的評価方法が最終仕入原価法で、あらかじめ税務署に届け出ていれば他の5種類の原価法(個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、売価還元法)を選定することができます。青色申告者は上記に加えて「低価法」を選定することができます。低価法は、原価法で算定した在庫の取得価額と年末時点での時価を比較して、いずれか安い方を棚卸資産評価額とする方法です。
したがって不適切な記述は[3]です。