FP2級 2022年1月 実技(金財:個人)問1(改題)
問1
Mさんは、Aさんに対して、Aさんが65歳になるまでに受給することができる公的年金制度からの老齢給付について説明した。Mさんが説明した次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。- 「1962年4月生まれのAさんは、61歳から報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金を受給することができます。また、仮に、X社の継続雇用制度を利用して63歳になるまで働き、同社退職後、再就職をしない場合、長期加入者の特例により、63歳から特別支給の老齢厚生年金の定額部分も受給することができます」
- 「厚生年金保険の被保険者に支給される特別支給の老齢厚生年金は、当該被保険者の総報酬月額相当額と基本月額に応じて調整が行われますが、2022年4月以降、60歳台前半の在職老齢年金の仕組みが変更され、支給停止とならない範囲が拡大されました」
- 「Aさんが希望すれば、60歳から老齢基礎年金の繰上げ支給を請求することができます。2022年4月以降、繰上げによる当該年金額の減額率は引き上げられ、仮に、Aさんが61歳8カ月で老齢基礎年金の繰上げ支給を請求した場合、当該年金額の減額率は28%となりました」
① | ② | ③ |
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正解
① | ② | ③ |
× | 〇 | × |
分野
科目:A.ライフプランニングと資金計画細目:5.公的年金
解説
- ×不適切。設例の「長女Cさんの父親Bさん」という記述より、Aさんは女性であることがわかります。Aさんは女性で1962年4月13日生まれなので、63歳から特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分のみ)を受給することができます。本肢は「61歳から」としているので誤りです。
なお、長期加入者の特例とは、厚生年金保険の被保険者期間が44年(528月)以上ある人が、退職などにより被保険者でなくなった場合に、65歳未満であっても特別支給の老齢厚生年金(報酬比例部分)に加えて定額部分を受け取れる制度です。Aさんの被保険者期間は60歳時点で492月なので、あと3年(36月)X社で働いてから退職すれば本制度の対象となります。 - 〇適切。総報酬月額相当額と年金月額の合計が一定額(支給停止開始調整額)を超えると、老齢厚生年金の一部または全額が支給停止になります。この仕組みを在職老齢年金といいます。
支給停止調整開始額は、2022年3月まで65歳未満の人と65歳以上の人とで異なっていましたが、年金法の改正により、2022年4月以降は65歳未満の人の基準額が65歳以上の人と同じ額まで引き上げられ一本化されています。65歳未満の人も合計50万円以下であれば年金の支給停止はなくなります。 - ×不適切。2022年3月以前に年金の繰上げ支給を請求すると、年金額が1月当たり0.5%減額されていましたが、年金法の改正により、2022年4月1日以降に60歳になる人(1962年4月2日以降生まれの人)は繰上げ請求による減額率が1月当たり0.4%に軽減されます。Aさんが61歳8カ月で繰上げ支給の申出をすると40月繰り上げたことになるので、減額率は「0.4%×40月=16.0%」になります。
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