FP2級過去問題 2022年9月学科試験 問10

問10

中小企業の資金調達の各種方法と一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
  1. 私募債は、少数の特定の投資家が直接引き受ける社債であり、企業が資本市場から直接資金を調達(直接金融)する手段の1つである。
  2. 信用保証協会保証付融資(マル保融資)は、中小企業者が金融機関から融資を受ける際に信用保証協会が保証するものであり、利用するためには、業種に応じて定められた資本金の額(出資の総額)または常時使用する従業員数の要件を満たす必要がある。
  3. ABL(動産・債権担保融資)は、企業が保有する売掛債権や在庫・機械設備等の動産あるいは知的財産等を担保に資金を調達する方法であり、不動産担保や個人保証に過度に依存することなく資金を調達できるというメリットがある。
  4. インパクトローンは、米ドル等の外貨によって資金を調達する方法であり、その資金使途は、海外事業の展開・再編に係るものに限定されている。

正解 4

問題難易度
肢15.4%
肢211.1%
肢310.1%
肢473.4%

解説

  1. 適切。債券を募集形態で分けると「公募債」と「私募債」に分かれます。「公募債」は不特定多数の投資家を対象として広く募集される社債ですが、「私募債」は少数の特定の投資家を対象として直接発行される社債です。
    私募債は、公募債よりも発行手続きが比較的容易であるため中小企業にも利用しやすい資金調達方法です。
  2. 適切。信用保証協会が保証をしている融資は「信用保証協会保証付融資(マル保融資)」と呼ばれ、信用保証協会が債務保証をしてくれることで金融機関からの融資を受けやすくなります。マル保融資を受けるためには、資本金または常時使用する従業員数が業種ごとに定められた一定数以下である必要があります。
    信用保証協会保証付融資(マル保融資)は、中小企業者が金融機関から融資を受ける際に信用保証協会が保証するものであり、利用するためには、業種に応じて定められた資本金の額(出資の総額)または常時使用する従業員数の要件を満たす必要がある。2023.9-10-2
    信用保証協会保証付融資(マル保融資)の対象となる企業には、業種に応じた資本金または常時使用する従業員数の要件がある。2021.5-10-4
  3. 適切。ABL(Asset Based Lending:動産・債権担保融資)は、企業が保有する売掛金等の債権や在庫、機械設備等などの流動性の高い資産や特許権等の知的財産等を担保として融資を受ける方法です。担保となるような不動産を所有してない中小企業であっても、事業規模に合った融資を受けることができます。
    ABL(動産・債権担保融資)は、企業が保有する売掛債権や在庫・機械設備等の資産を担保として資金を調達する方法である。2023.9-10-3
    ABL(動産・債権担保融資)は、企業が保有する売掛債権等の債権や在庫・機械設備等の動産を担保として資金を調達する方法である。2021.5-10-3
  4. [不適切]。インパクトローンは外貨建てによる融資を受ける資金調達方法のことをいいます。期間や金額、返済方法の制限がなくその資金使途も限定されていません。それに対し、貸付者により使途が限定されている外貨建て融資をタイドローンといいます。
    インパクトローンは、米ドル等の外貨によって資金を調達する方法であり、その資金使途は限定されていない。2023.5-9-2
    インパクトローンは、米ドル等の外貨によって資金を調達する方法であり、その資金使途は限定されていない。2021.5-10-2
したがって不適切な記述は[4]です。