FP2級過去問題 2022年9月学科試験 問24
問24
債券のイールドカーブ(利回り曲線)の一般的な特徴等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。- イールドカーブは、縦軸を債券の利回り、横軸を債券の残存期間として、利回りと投資期間の関係を表した曲線である。
- イールドカーブは、好況時に中央銀行が金融引締めを行うとスティープ化し、不況時に中央銀行が金融緩和を行うとフラット化する傾向がある。
- イールドカーブは、将来の景気拡大が予想されるとスティープ化し、将来の景気後退が予想されるとフラット化する傾向がある。
- イールドカーブの形状は、通常、右上がりの順イールドであるが、急激な金融引締め時に右下がりの逆イールドとなる傾向がある。
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正解 2
問題難易度
肢111.8%
肢246.5%
肢328.1%
肢413.6%
肢246.5%
肢328.1%
肢413.6%
分野
科目:C.金融資産運用細目:4.債券投資
解説
- 適切。債券の利回りを縦軸に、債券の残存期間(償還期間)を横軸にして2つの関係をグラフにしたときに現れる曲線(カーブ)をイールドカーブといいます。利回りは、表面利率(クーポン率)と債券の購入価格により決まります。
投資家は残存期間の価格変動リスクに見合ったリターンを期待するため、通常は下図の黄色線のように右上がりのカーブになることが多く、これを「順イールド」といいます。逆に短期債券のほうが利回りが高くなっている状態を「逆イールド」といいます。 - [不適切]。イールドカーブは、金融引締めにより「フラット化」し、金融緩和により「スティープ化」する傾向があります。本肢は逆に説明をしているので誤りです。フラット化とはイールドカーブの傾きが緩やかになること、スティープ化とはイールドカーブの傾きが急になることです。金融引締めとして中央銀行による政策金利の引上げなどの政策が行われると、市場金利が上昇し、市場の金利動向に影響を受けやすい短期債券の金利が上昇します。その結果、長期金利との金利差が小さくなりフラット化する傾向があります。逆に金融緩和として中央銀行による政策金利の引下げなどの政策が行われると、市場金利が低下し、短期債券の金利も低下します。その結果、長期金利との金利差が大きくなりスティープ化する傾向があります。
- 適切。イールドカーブは、景気拡大が予想されると「スティープ化」し、景気後退が予想されると「フラット化」する傾向があります。
現在よりも将来は景気拡大するだろうと予想した場合、金融政策として市場金利の引き上げが予想されます。市場金利の上昇を見込んで長期債券を売却しようとする動きが進みます。その結果、長期債券の価格が下がり、利回りが上がります。短期債券との利回りの差が拡大することによりスティープ化しやすくなります。逆に現在よりも将来は景気後退するだろうと予測した場合、金融政策として市場金利の引き下げが予想されます。市場金利の下落が見込まれると、長期債券を購入する動きが高まります。その結果、長期債券の価格が上がり、利回りが下がります。短期債券との利回りの差が小さくなることによりフラット化しやすくなります。 - 適切。「逆イールド」とは、短期債券(残存期間が短い債券)の利回りが長期債券(残存期間が長い債券)の利回りを上回っている状態のことです。
金融引締めとは、中央銀行により行われる「政策金利の引上げ」や「売りオペレーション」などの政策のことです。急激な金融引締めが行われると短期金利が上昇することから、特に残存期間の短い既発債の価格が下落し、それに伴い短期債券の利回りが急騰します。これにより、長期債券よりも短期債券の利回りが高い逆イールドとなる傾向があります。
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