FP2級 2023年1月 実技(金財:個人)問11

【この問題にはが用意されています。読んでから回答してください。】

問11

X社が提案するトランクルーム経営に関する次の記述①~③について、適切なものには○印を、不適切なものには×印を解答用紙に記入しなさい。
  1. 「Aさんが、金融機関から融資を受けてトランクルームとして利用する建物を建築する場合、借入金の返済リスクを考慮する必要があります。DSCR(借入金償還余裕率)の値が1.0未満のときは、賃料収入だけでは借入金の返済ができないことを示しています」
  2. 「AさんがX社に賃貸した建物の一部が、X社の責めに帰することができない事由で滅失等し、使用および収益をすることができなくなった場合、民法上は、その使用および収益をすることができなくなった部分の割合に応じて賃料が減額されることとされています。X社と契約する際は、賃料が保証される期間やその条件等について事前に確認しておくことが重要です」
  3. 「近年、サブリース業者に対する規制が強化されています。賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律では、サブリース業者がマスターリース契約を締結しようとする際に誇大広告や不当な勧誘を行うことを禁止しており、当該契約に基づき、Aさんから建物を一括賃借するX社も当該規制の適用を受けます」

正解 

×

分野

科目:E.不動産
細目:7.不動産の有効活用

解説

  1. 〇適切。DSCR(借入金償還余裕率)は、不動産投資において借入金返済の安全性を測る指標で「NOI(正味利益)÷元利金返済額」の式で算出します。この値が大きいほど返済に余裕があることになり、1.0を下回ると投資対象から得られる利益だけでは借入金の返済が追いつかないことを意味します。
  2. 〇適切。賃貸借の目的物の一部が、賃借人に帰責性がない事由で滅失して使用収益できなくなったときは、その使用収益できなくなった部分に相当する賃料は当然に減額されます。このため、たとえば天災等でトランクルームの一部が使用収益できなくなってしまった場合、Aさんに支払われる賃料は減額されてしまいます。業者側は当然このことを知っていますから、賃料保証の条件や詳細、契約期間や中途解約条項などをしっかりと見極める必要があります。
  3. ×不適切。賃貸住宅管理業法は、賃貸住宅管理業および賃貸住宅のサブリース業を規制する法律です。賃貸住宅とは文字どおり「人が居住するために賃貸される建物」であるため、トランクルームなどの人の居住以外を目的とする建物のマスターリース契約(転貸を目的として建物を一括で借り上げる契約)は同法の規制対象外です。