FP2級 2023年9月 実技(FP協会:資産設計)問21

問21

相続の手続き等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
  1. 相続人が相続放棄をする場合、自己のために相続の開始があったことを知った時から、原則として、6ヵ月以内に家庭裁判所にその旨の申述をしなければならない。
  2. 遺産分割協議により遺産分割を行う場合、相続の開始があったことを知った日から10ヵ月以内に遺産分割協議書を作成し、家庭裁判所に提出しなければならない。
  3. 法定相続情報証明制度に基づき、法定相続情報一覧図を作成した場合であっても、遺産の相続手続きを行う際には、被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本の原本が必要となる。
  4. 被相続人の死亡時の住所地が国内にある場合、相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所地の所轄税務署長である。

正解 4

分野

科目:F.相続・事業承継
細目:4.相続と税金

解説

  1. 不適切。6か月ではありません。相続人が相続放棄や限定承認をする場合、相続の開始があったことを知った時から3ヵ月以内に家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。なお、その期間が過ぎると自動的に単純承認したものとみなされます。
  2. 不適切。遺産分割をする期限は特に定められていません。遺産分割協議書は、相続登記を行う際に法務局、預貯金の相続手続きの際に金融機関、相続税の申告時に税務署などに提出することがありますが、家庭裁判所に提出する義務はありません。
    相続税の各種特例を受けるためには、原則として申告期限までに分割が済んでいる必要があるので、実質的には10か月以内がひとつの目安となります。
  3. 不適切。法定相続情報証明制度は、相続人が法務局に戸除籍謄本等の束を提出し、併せて法定相続情報一覧図を提出することにより、登記官から法定相続情報一覧図に認証文を付した写しの交付を受けることができる制度です。本制度により交付を受けた法定相続情報一覧図の写しは、「法定相続人が誰であるのか」を公的に証明する書面であるため、相続登記等や金融機関に対する預貯金の払戻しで戸籍謄本の束を何度も提出する代わりに使うことができます。
  4. [適切]。被相続人の住所地が国内にある場合、相続税の申告書の提出先は、被相続人の死亡時の住所地を所轄する税務署長となります。なお、被相続人の住所地が国内ではないときは、相続人が国内に住んでいれば相続人の住所地、国内に住んでいなければ相続人が定めた場所が納税地となります。
したがって適切な記述は[4]です。