FP2級過去問題 2024年9月学科試験 問35

問35

給与所得者の所得税の確定申告に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、記載された所得以外の所得は考慮しないものとする。また、いずれも適切に源泉徴収等がされ、年末調整すべきものは年末調整が済んでいるものとする。
  1. A社からの給与の収入金額が3,000万円で、B社からの原稿料収入に係る雑所得の金額が15万円ある場合、確定申告は不要である。
  2. C社からの給与の収入金額が800万円で、アルバイトとして兼業しているD社からの給与の収入金額が30万円ある場合、確定申告は不要である。
  3. E社からの給与の収入金額が800万円で、生命保険の満期保険金に係る一時所得の金額が50万円ある場合、確定申告は不要である。
  4. F社からの給与の収入金額が70万円で、老齢基礎年金および老齢厚生年金の公的年金に係る雑所得の金額が250万円ある場合、確定申告は不要である。

正解 4

問題難易度
肢111.8%
肢210.0%
肢333.2%
肢445.0%

解説

給与所得のみの人は、原則として勤務先で年末調整を受けることで確定申告が不要となります。しかし、給与所得者であっても次のいずれかに該当する場合には所得税の確定申告をしなければなりません。
  • 給与の年間収入金額が2,000万円を超える人(年末調整の対象外)
  • 給与所得および退職所得以外の所得金額の合計が20万円を超える人
  • 2つ以上の会社から給与支払いを受けている人で、「年末調整を受けていない給与収入」と「給与所得および退職所得以外の所得金額」の合計が20万円を超える人
  • 同族会社の役員やその親族などで、その同族会社から貸付金の利子や資産の賃貸料などを受け取っている
  • 医療費控除・寄附金控除・雑損控除の適用を受けようとする人
  1. 不適切。給与の年間収入金額が2,000万円を超えているため、年末調整の対象外となります。よって、確定申告が必要です。
  2. 不適切。2つ以上の会社からの給与収入がある場合、主たる給与(C社の給与)は年末調整が行われますが、従たる給与(D社の給与)は年末調整が行われません。本肢では、年末調整が行われていないほうのD社の給与額が20万円を超えているため、確定申告が必要です。
  3. 不適切。一時所得の金額が50万円あります。一時所得の金額はその2分の1が総所得金額に算入され、20万円を超えるかどうかは総所得金額に算入される額で判断されます。「50万円×1/2=25万円」なので20万円を超えており、確定申告が必要です。
    "一時所得の金額"とある場合、その金額はすでに「収入金額-支出金額-特別控除額」の計算後の金額なので注意しましょう。
  4. [適切]。公的年金等の受給者が確定申告不要となるのは、次の2つをともに満たす場合です。
    • 公的年金等の収入金額が400万円以下であり、それら全てから源泉徴収されていること
    • 公的年金等以外の所得金額の合計が20万円以下であること
    F社から70万円の給与を受けていますが、給与所得控除額55万円を控除すると給与所得は15万円です。公的年金等以外の所得金額の合計が20万円以下なので、確定申告は不要です。
    【補足】本肢は、年金額が収入金額ベースではなく、所得金額ベースになっているので400万円以下かどうかの判断がしづらいです。公的年金等収入金額が400万円である場合、雑所得の金額は272.5万円となるので年金額の要件を満たしています。
したがって適切な記述は[4]です。